19世紀、仏の文豪・アレクサンドル・デュマによる傑作小説、日本では『巌窟王』として翻訳された、冒険と復讐劇の『モンテ・クリスト伯』の原作を忠実に描かれた作品です。
1815年のマルセイユ。若き庶民の航海士エドモン・ダンテス(ピエール・ニネ)は、船長への昇進が決まり、愛する富豪の娘メルセデス(アイナス・ドゥムースティエ)との結婚式の最中に、ある策略により無実の罪で逮捕される。メルセデスに恋をした従兄弟フェルナン(バスティアン・ブイヨン)と、船長の座を奪われたダングラール、悪徳検事ヴィルフォールの謀略だったのだ。4年後、マルセイユ沖のイフ島の城塞、脱獄不可能の独房で生きる気力も無いダンテスは、テンプル騎士団の生き残りの老司祭と独房で出会い、紳士としての学問と教養を受け、さらにテンプル騎士団の隠し財産がモンテ・クリスト島に隠されていることを知らされる。14年後、奇跡的に脱獄を果たしたダンテスは、莫大な財宝を手に入れ復讐を果たすべく動き出す。謎に包まれたイタリアの大富豪家【モンテ・クリスト伯】として、パリの華やかな社交界に姿を現したダンテスは、司祭に鍛われた知性・教養の完璧な紳士として、社交界の花形として、自らの人生を奪った3人の男たちに巧妙に近づいていくが・・・。
冒頭のシーンで、ダンテスが航海士の時に燃える難破船から助けた女性が持つ、エルバ島のナポレオンの直筆の手紙が(この女性の運命も劇中に描かれる)ドラマのキーになるこの作品は、テンプル騎士団への弾圧などの、この時代の出来事を虚実混ぜ合わせ、当時のヨーロッパの混乱していた歴史を混ぜ合わせ、思わぬ事から歴史の渦に巻き込まれ苦闘する「ダンテス」という庶民の若者の波乱万丈な物語を、文豪デュマの原作に忠実に展開していくのだ。抄訳の児童小説で読んだ僕のような人には、この作品は、目から鱗が落ちるような気持ちになる作品でした。同時に、この時代の庶民と富裕層との身分の違いなど、服装、態度など視覚的に知らされ勉強させられる内容となっているのです。2025年、フランスのセザール賞で、美術賞と衣装デザイン賞を受賞したのが、頷かれるゴージャスな気分にさせられる作品でした!!
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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