1959年に公開されたディズニー・アニメーションの俊作『眠れる森の美女』でオーロラ姫に永遠の眠りの呪いをかけた魔女マレフィセントは、なぜオーロラ姫にそのような残忍な仕打ちをしようとしたのかを、マレフィセントの側に立って描いた作品だ。
昔々、ふたつの国が隣りあって生活していた。ひとつは人間の国、もうひとつは魔法の国。人間の国は王様が支配している国、そして魔法の国は支配者がなく、それぞれ姿、形が違う妖精たちが仲良く慈しみあって暮らす国だった。その魔法の国に生まれたマレフィセントは皆から愛され親しまれる妖精だった。お互いの国は行き来はなかったのだが、ある日ひとりの人間の少年が入り込み宝石を持ち帰ろうとしたが、マレフィセントに諭され、その日からふたりは仲良しになる。マレフィセントが16才になった年、少年・ステファンは真実の愛を告白する。
しかし、人間界の欲望にそまったステファンはマレフィセントを裏切ってしまう。そして王となったステファンは人間の娘と結婚し、ひとりの可愛い子供が誕生する。オーロラと名付けられた姫の洗礼の宴に現れたマレフィセントは「この子が16才の誕生日の時に永遠の眠りにつく」と予言する。
だが、予言したマレフィセントの心にもポッカリと穴が開いてしまう。
そして、マレフィセントが取った行動は・・・・?
実写のファンタジー映画として撮ったこの作品は、ディズニー・アニメーションの『眠れる森の美女』の善と悪の立場をひっくり返した内容となっており、A・ジョリーが悲しみのマレフィセントをディズニー・アニメーションから飛び出したかのようなソックリさんで演じているのが最大の見所となっているし、まさに適役である!
ただ、それを除いてファンタジー・ドラマとして見ると、A・ジョリーのためだけの演出となっているのでドラマの流れが単調になってしまった。
色々なスペクタクルな要素やユーモアは詰め込んではいるものの、今ひとつ内容が冴えないのは、主役だけを映えさせようとした演出に問題があったと思う。
ぼくのチケット代は、1,900円を出してもいいかと思う作品でした。
星印は、2つ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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