1994年に発行された人気コミックを2012年に映画化し公開された時、ヒットを危ぶむ声も聞かれたが、従来の時代劇の枠を破る今風のコミカルでアクロバティックな大友監督の演出と、佐藤健ら若い俳優の生き生きとした演技が受け興収成績30億円を超える大ヒットした作品となった。そして今回は主舞台を京都に移してのシリーズ2作目として一部・二部に分けて30億円の製作費をかけて、よりスケールアップした内容を持つ作品として夏休みの興行を受け持つ作品として登場した。
動乱の幕末、勤皇方に属し<人斬り抜刀斉>として恐れられた若い剣士・緋村剣心は、動乱の世とはいえ、あまりに沢山の人を殺めたことを恥じ、明治の新時代に忽然と人々の前から姿を消した。剣心はもう二度と人を殺めないと心にきめ、[逆刃刀]という人を斬れない刀に持ち替え、神谷活心流の若い女性道場主・神谷薫の所で大切な仲間たちと暮らしていた。しかし、新政府は剣心の腕を放っておかなかった。剣心が刀を捨てた後、剣心の後継者として<人斬り>を受け持っていた志々雄真実が京都の裏社会の頭領として私設軍隊を持ち、新政府転覆の計画を進めており、その殲滅を剣心に依頼してきたのだ。平和な世を望む剣心は、その頼みを受ける。二度と足を踏み入れないと決めていた京都に赴いた剣心は、かつての敵であった旧幕府のお庭番衆の助けを借り志々雄一派と対決しようとする。しかし最強の私設軍を持ち剣の腕前は剣心と互角という志々雄の邪悪な企みに、さすがの剣心も窮地に陥っていく。剣心の仲間たちも京都に駆け付け、京都を火の海にしようとする志々雄たちと戦うのだが、その裏にもっと恐るべき企みがあると見抜いた時には・・・・。
中国の武侠物を参考にしたと思われる重力を無視したアクロバティックな立回り。超派手な衣装の数々。
従前の日本の時代劇の定型を打ち破った、コンピューターゲームのような内容は、確かに若い世代には新鮮な時代劇として支持される要素を持っていると思う。
時代劇が日本映画のジャンルとして消えつつある昨今、このような作品で若者たちが時代劇の面白さを知ってくれれば、このジャンルの火を消さないですむ。そういう意味でもこの作品は重要な立ち位置を持つし、内容も決して悪くない。
ぼくは結構面白く見ました。
ぼくのチケット代は2,100円出してもいい作品でした。
星印は、3つ差しあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
©2024 Oita Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.