アメリカ版『必殺仕置人』と考えて見ればわかりやすい作品。
ただしこの仕置人は、まったく無私の精神で弱者を救おうとするところが違うのだ。
イコライザーとは、世の中の目に余る不正に怒り<平衡化する者>という意味らしい。
ロバート・マッコールは、ホームセンターの正社員として働いている。妻に先立たれ、アパートで一人暮らしをしている。物静かな知性的性格で几帳面な性格。不眠症があり毎日深夜まで開いている食堂の奥のテーブルで食事をしながら読書をするのが日課となっている。そこで毎日出会う少女・テリーと短い会話を交わす仲だったが、ロシアン・マフィアに囲われ娼婦として働かされていたテリーが、客とトラブルを起こし半死半生の重傷を負う。会話を交わす程度の淡い関係だが、テリーの純な性格を慈しんでいたロバートは頼まれた訳でもないのに、もうひとつの獰猛な顔を見せロシアン・マフィアの抹殺を計画しはじめる。実は、ロバートの前身はCIAのトップエージェントで、身の回りにある日用品をすべて強力な武器にする特殊な技術を有していた。だから、どんな状況下に置かれてもロバートには不利という言葉は存在しない恐るべき男だったのだ。
ロバートはターゲットとして、まずテリーに暴行を加えた5人のロシアン・マフィアの料理店に行き、わずか19秒で手元にある日用品で瞬殺してしまう。ロシアン・マフィアの組織は仲間を殺した者を血眼で追いはじめた。しかし、相変わらず平凡な仕事に従事しているロバートの仕業とはわからない。しかし、本部から派遣された元KGBで切れ者のテディが次第にロバートの下に接近しはじめる。
元CIAと元KGBの裏世界で暗躍した両者の戦いの幕が切って落とされる、かたや単身のロバート、かたや大組織をバックにしたテディ、はたしてロバートは冷酷無比な大組織のロシアン・マフィアを打ち破ることができるのか・・・。
昼の真面目にホーム・センターで働くロバートの私生活を丁寧に描写しながら、テリーの暗黒の生活を救うため徒手空拳で己の恐るべき技術を駆使してロシアン・マフィアに真っ向から戦いを挑む夜の冷静でかつ冷酷なふたつの顔を、D・ワシントンが見事に演じ分け、見る我々の心を高揚させてくれる。またテディ役のM・ソーカスの壊れた性格の怖さも敵役としていい演技を見せてくれているのだ。
クライム・アクション物として完成度の高いエンタティメントな作品となっている。
ぼくのチケット代は、2,200円出してもいい作品となっています。
星印は、4つ差し上げたい作品です。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
©2024 Oita Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.