テレビの人気ドラマの映画化作品であり、監督・脚本も同じメンバーなのでテレビの延長上の作品となり、テレビ・ドラマを見てなくて映画を見た場合、若干小分かり出来ないキャラクター設定となっているのが難点である。なお今野敏の原作小説では、青山刑事が男性となっているがテレビ・映画版では志田未来が演じる女性役となっている。
STとは警視庁科学特別捜査班の略称であり、警視庁職員としてキャリアの警察官である百合根警部の下、法医学の天才スペシャリスト赤城をリーダーとして5人の優秀な特技を有するチームで編成されている組織なのだが、全員が非常に変わった性格を持つので、百合根警部はいっもその扱いに四苦八苦していた。
その百合根もあと56時間でSTから栄転することになった時、護送中の囚人の脱獄を仕組んだ天才ハッカー鏑木をSTメンバーがプロファイリングで特定し、追跡する中その鏑木の焼死体を赤城が発見する。そしてSTが特定した鏑木殺人の犯人像は何と赤城へと行き着く。赤城は逮捕され百合根は驚愕するが、赤城はおとなしく拘置所へ勾留される。しかし赤城は突如拘置所から脱走し、百合根とSTのメンバーが赤城を追跡確保する任務を命令された。赤城の無実を信じる百合根が捜査する中、鏑木がやろうとした犯罪は彼が開発したコンピューターからすべての情報を盗み出すサイバーウィルス[フギン]がこの事件のキーを握っていることを見つける。
一方、赤城も厳重な包囲網がSTや投入された警察たちによって敷かれる中を掻い潜りながら、世界中がこのコンピューター・ウィルス[フギン]により壊滅的な被害を受ける前に」この[フギン]を探す捜査をつづけていた。
一体なぜ、赤城はおとなしく逮捕されながら拘置所を脱走したのか?
百合根はどう動かなればならないのか!
混沌とする、この事件はどう解決できるのか。
そして仲間である赤城とSTとの知恵比べの結末は・・・。
原作とは趣きの違うコミカルな味を押し出したこの作品は、登場人物のコメディ的要素を重視する仲間愛の話として気楽に見ることが必要であり、撤密なSTの科学捜査の推理物と考えて見るとガッカリしてしまうだろう。
ぼくのチケット代は、1,700円を出したい作品でした。
星印は、2つ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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