皆さま、お元気ですか?
「No Stage No Life!」ステージナビゲーター★飯田裕美です。
11月2日の放送もお聴きくださり、ありがとうございました(^^♪
今回は、實山加代子さんとご一緒させていただきました。
この日は、私が観劇してきた中でも特に思い出深い作品、【新近松心中物語】についてお話させていただきました。
演出家:蜷川幸雄さんの代表作としても有名な作品です。
2組の恋人たちの真っ直ぐな愛、情愛を描いています。
初演は1979年、平幹二郎さん・太地喜和子さん・菜保之さん・市原悦子さんというそうそうたる顔ぶれで開幕しました。
その後、長きにわたり再演を繰り返し、1100回を超える公演数を誇っています。
私が拝見したのは、2004年博多座。
出演は、阿部寛さん・寺島しのぶさん・田辺誠一さん・須藤理沙さんでした。
個人的な話になり恐縮ですが、この時私は福岡に勤務していました。なかなか思うようにいかない日々を鬱々と過ごしていました。
今思い返せば恥ずかしくなる話ですが、すべてに対してやる気がなく、「ことなかれ」といった仕事の仕方をしていた時です。
2階席の端のほうでしたが、偶然この舞台のチケットを入手でき観劇が叶いました。
セリフ回し・音・装置・衣装・照明…すべてに魅了され、蜷川演出に引き込まれていきました。
最後は大量の桜吹雪を降り積もる雪に見立て、その中で心中を図るというシーンで終わります。
半端ない量の雪です。あっと言う間に広い舞台に雪が数センチ積もっていきます。観客席にも雪が舞い落ちます。白い雪と赤い衣装のコントラストが美しく、圧巻のシーンで幕は閉じました。
しばし茫然とし、ようよう席を立ち、エスカレーターで降りていくと、観客の洋服などについた雪がロビーのアチコチに舞い落ちています。トイレにもたくさん落ちていました。
私はふと考えました。「この後、約3時間後には夜公演が開場となる。その時間内に、広い劇場内の隅から隅までこの雪のひとかけらを“探し捨て”という作業を繰り返すの?」
途方もなく根気のいる作業です。でも、夜公演で入場した人がこのひとかけらを見つけてしまったら、これから始まる舞台の世界に心ときめかしているのに興ざめです。
【これがプロの仕事なんだ…】と心が動きました。
私の鬱々とし続けていた心に、雷が打たれた瞬間でした。
そこから私は、「プロ」ということを殊の外意識するようになりました。
そう言った意味で、私の価値観を劇的に変えた思い出深い作品です。
遊女“梅川”役の寺島しのぶさんが「逢いたくて」を5回繰り返すセリフがあります。
「わずか5文字のこの言葉をこんなにいろんな様で表現できるなんて役者ってすごいなぁ。」と驚いた記憶も未だ鮮明です。
人それぞれに、自分の価値観を一転させる出来事をお持ちかと思います。
ぜひ、皆さまのそんな瞬間のお話もお聴かせください。
メッセージお待ちしています(^^♪
ラストにお聴きいただいた曲は、ミュージカル:パレードのナンバー♪
舞台で桜吹雪といえば「新近松物語」か「パレード」か!といわれるほど両方莫大な量の紙吹雪を使用します。
「プロ」を見せつけられる舞台です。
今日の1曲♪
「まだ終わりじゃない」
ミュージカル:パレードより
石丸幹二&堀内敬子♪
次回の放送は、11月16日(水)です。
ぜひお聴きください(^^♪
ステージナビゲーター★飯田裕美
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