OBS大分放送

5 月 21 日 ON AIR!

記事 >  OBSラジオ > NO STAGE NO LIFE! > 5 月 21 日 ON AIR!

   2025/05/22

NO STAGE NO LIFE!

「No Stage No Life!」ステージナビゲーター★飯田裕美です。

5 月 21 日の放送もお聴きくださり、ありがとうございました(^^♪



今回は、日本で古くから上演を繰り返している 3 作品の話題をお届けいたしました。



日本でミュージカルが上演されたのは 1963 年。記念すべき第一作目は帝国劇場で上演された「マイフェアレディ」でした。

初演時のイライザ役は江利チエミさん。その後、大地真央さんがあたり役として長く務められ、最近は元宝塚トップスターの朝夏まなとさんが演じられています。

「マイフェアレディ」は、オードリーヘップバーンの映画でも有名です。

下町の花売り娘イライザが、美しい言葉遣いと教養を身につけていく「自己変革」の物語。

単なるシンデレラストーリーではなく、「自分の生き方を自分で選ぶ」女性の姿が描かれています。

「踊り明かそう」「君住む街角」など、心に残るミュージカルナンバーが満載で、エレガントな衣裳や美しい舞台美術も見どころです。

由貴ちゃんも神田沙也加さん主演時の本作を鑑賞されたことがあるとのことで、話に花が咲きました!



続きましてご紹介した作品は「ラ・マンチャの男」です。

こちらの日本初演は 1969 年。2023 年までの約 55 年間、松本白鸚さんが、主演のドン・キホーテを務められました。

舞台は中世のスペイン。牢獄に投獄された劇作家セルバンテスが、囚人たちの前で自作の劇を上演するという形で物語が始まります。

現実に翻弄されながらも、自分の「見果てぬ夢」を信じ続ける姿が、周囲の人々の心を変えていく物語です。

牢獄の中でのお話ですので、実際にはお城も戦場も馬も…出てこないのですが、観る者の頭の中にはしっかり見える。それがこの舞台のすごさだと思います。

人間の想像をする力を感じさせる作品ですし試されているようにすら感じます。

ギターで奏でられる音楽やリズムがスペインらしさを感じさせて、情熱的で哀愁のある雰囲気が常に漂っている作品です。

卒業公演時は、アルドンザ役を、実の娘さんである松たか子さんが演じ親子共演が話題にもなりました。


最後にご紹介した作品は「屋根の上のヴァイオリン弾き」です。

写真1

博多座名物大ビジョン前にて


現在、各地で上演中。私も先日博多座で鑑賞してまいりました!

日本初演 1967 年。主役のテヴィエを森繁久彌さんが 900 回上演するという大記録を打ち立て、その後、西田敏行さん、そして現在の市村正親さんへと引き継がれています。

市村さんは 2004 年からされていますので、すでに 20 年を超えるテヴィエ役のキャリアです。

今回、博多座での初演日となった 5 月 9 日に、通算出演 350 回を達成されました。

貧しい牛乳屋の父:テヴィエが、5 人の娘たちの結婚や時代の変化に直面しながらも、家族への愛と信仰心を貫こうとする姿が感動的な作品です。

テヴィエ一家はユダヤ人なのですが、衣装や仕草など、ディテールのこだわりも大きな見どころです。

演出に「円」が多く用いられ、「様々な出来事を手と手をつなぎ円となり乗り越えていく」というメッセージが込められています。

ユーモアと深い人間愛がバランスよく盛り込まれていて、非常に観やすいミュージカルです。

「変わっていく世界の中で、何を守り、何を手放すか」そんな、誰にも伝わるテーマを描いた名作です。


写真2

こちら、写真ではなくポスターを手描きした絵看板(縦2・1メートル、横2・7
メートル)です。福岡市在住、最後の看板画家といわれる中村高徳さんの作品です。



そして、勘のいい由貴ちゃんに、私が市村正親さんの大ファンであることを見破られ、その魅力をご質問いただきました☆彡

今や、「ミュージカル界のレジェンド」と呼ばれる市村正親さん。私の思う魅力は、歌と台詞がつながっているところ。

歌と台詞を行き来し声そして言葉が揺らぐ感じが唯一無二の存在のように思います。

舞台に表れた瞬間に場の空気を変える“圧”みたいなものがあって、コミカルからシリアスまで幅広く演じ分け、どんな深刻な場面でも、市村さんが演じるとどこか“人間らしい可愛さ”や温かみがにじみ出ます。

今年 1 月から、「ラブネバーダイ」、「帝劇ラストコンサート」、「屋根の上のヴァイオリン弾き」、次作に「ハリーポッターと呪いの子」、「音楽劇エノケン」が控えており、ミュージカル界で最もお忙しい方でもあります。ハリポタは 3 役もなさるんです!観に行きたい~~。



今回は、日本で長く愛されている 3 作品の話題をお届けいたしました。

共通点には、「普遍的なテーマ」が描かれていることがあると思います。愛や家族、夢、自由、差別、戦争など、時代や国を超えて多くの人が共感できる題材が物語の土台にあります。

その作品の中に、自分自身の人生を重ねられる瞬間がある。だからこそ、世代を越えて多くの人の心をつかみ、何度も再演されているんだなぁと感じます。

ぜひ一度ご覧いただけると嬉しいです。


♪今日の曲

“ラ・マンチャの男 “から「見果てぬ夢」

歌:石丸幹二さん

この作品の名シーンで歌われます。

夢や理想をあきらめない強さを、まっすぐに歌い上げ、胸に深く響く名曲です。


次回の放送は、5 月 21 日(水)10 時 10 分頃からです。

ぜひお楽しみに(^^♪


写真3


ステージナビゲーター★飯田裕美

©2025  Oita Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.