「No Stage No Life!」ステージナビゲーター★飯田裕美です。
2025年最後の放送をお聴きくださり、ありがとうございました。
今回の「No Stage No Life!」は、
今年のミュージカル界を振り返る「総まとめ」としてお届けしました。
作品そのものの魅力はもちろん、「誰が、どんな想いで、その作品と向き合ってきたのか」
その背景まで強く心に残る一年だったように思います。
■ 2025年は「受け継がれていく時間」を感じた一年
長く作品を支えてきた俳優の皆さんの節目があり、その背中を見ながら、新しい世代が「次は自分たちが担う」という意思を示す。
2025年は、作品・劇場・人、そのすべてが “受け継がれていく途中” にあることを観客の一人として、はっきりと実感させてもらった一年でした。
■ 帝国劇場が一旦、幕を降ろした年
今年のミュージカル界を語る上で欠かせない出来事。
それが、帝国劇場が一旦、幕を降ろすというニュースでした。
その締めくくりとして行われた全7プログラムにわたる「コンサート THE BEST New History Coming」。
舞台に立つ俳優の皆さんが、「ここに立てたこと」への感謝と誇りを噛みしめるように歌う姿は、本当に胸を打つものでした。

帝国劇場前にて。2025年、ひとつの大きな節目を迎えた。
■ 『エリザベート』の「闇が広がる」がつないだもの
このコンサートで、特に印象深かったのが『エリザベート』より「闇が広がる」。
井上芳雄さんは、もともとこの作品でルドルフ役としてデビューし、のちにトート役として作品を牽引してきた存在です。
25年前、初舞台に緊張していた井上さんに、当時のトート役・山口祐一郎さんが「開演前に一度、一緒に歌ってから臨もう」と声をかけ、全公演それを続けていた…
年月を経て、帝劇コンサートで再び実現したトート・山口祐一郎 × ルドルフ・井上芳雄の「闇が広がる」。
歌い終えた瞬間、二人が抱き合い、普段は感情をあまり表に出さない井上さんの表情が
ふっと崩れた、あの一瞬。まさに「受け継がれてきた時間」を目の当たりにした場面でした。
■ 終わりではなく、バトンが渡された一年
帝国劇場は一旦幕を降ろしますが、そこに積み重ねられてきた想いと物語は、確かに次へと引き継がれています。
若手俳優の皆さんが「また必ずここに戻ってこられるように精進する」と語る姿も、とても清々しくて。
2025年は、終わりの年ではなく、静かにバトンが渡された年。
日本のミュージカルが「次のフェーズへ進む準備期間」に入った、そんな一年だったのではないでしょうか。
■ そして、今年を象徴する一曲
ミュージカル『レ・ミゼラブル』より
「ワン・デイ・モア」

『レ・ミゼラブル』の余韻とともに。
2025年のレ・ミゼラブル人気は凄まじく、2027年の再演が早々に発表されるほどでした。
今回お届けしたのは、石丸幹二さんのデビュー35周年コンサートで披露された一曲。
今井清隆さん、石川禅さん、坂元健児さん、そして石丸幹二さん。
ミュージカル界を長年牽引してきた4人による力強い歌声です。
「明日を見よう」「明日がある」そんなメッセージを内包したこの楽曲は、2025年の締めくくりにふさわしい、未来へのエールのように響きました。
次回の放送は 1月7日(水)10:10ごろ〜。
2026年最初の「No Stage No Life!」も、どうぞお楽しみに。
最後になりますが、2025年も「No Stage No Life!」をお聴きくださり、本当にありがとうございました。
舞台の感動を、言葉にして誰かと分かち合えること。
その時間を、リスナーの皆さまと共有できたことに、心から感謝しています。
作品を愛する気持ち、舞台人への敬意、そして“ステージが人生に与えてくれる力”。
この番組を通して、そんな想いが少しでも皆さまの心に届いていたなら、これ以上うれしいことはありません。
来年も、舞台への敬意と愛を胸に、「No Stage No Life!」らしい視点でお届けしていきたいと思います。
どうぞ、健やかな年末年始をお過ごしください。
また劇場で、ラジオで、お会いできますように♡
ステージナビゲーター★飯田裕美

番組収録後に。作品を語り合える時間に感謝。
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