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   2020/09/01

衛藤賢史のシネマ教室

カナダに国境を接しているオハイオ州のシンシナティの冬は厳しい。そんな寒さに慣れているシンシナティがまれに見る大寒波にみまわれた。その下町にある公共図書館には、朝9時の開館前から大勢のホームレスが寒さを凌ぐため列をなして待っている。物静かで寛容な図書館員のスチュアート・グッドマン(エミリオ・エステベス)は、そんなホームレスの退役軍人のジャクソンを中心とする陽気な常連グループからかわいがられながら仲良く接していた。そんなスチュアートは、アンダーソン館長(ジェフリー・ライト)から以前に体臭のひどい事を理由に(他の利用客からの苦情)で退館させその男が差別として図書館を訴え、検察官デイヴィス(クリスチャン・スレーター)が立候補している市長選に利用しようとしてスチュアートを裁判にかけようとしている事を知らされ、がっくりしていた。

その翌日、スチュアートにさらなる難問が構えていた。午後6時の閉館時間に、ジャクソンたち常連グループがホームレスの凍死が続出しているので今夜は図書館に泊まりたいと言うのだ。スチュアートは館長に相談するが体臭事件で図書館が訴えられ頭の痛い館長は「ここは公共図書館であり、シェルターでない」と却下する。図書館のルールを守るか、ホームレスの命を守るか、決断を迫られたスチュアートは、3階を占拠した約70人のホームレスを守ることを決断し同僚マイラも行動を共にする。通報を受けた市警からラムステッド刑事(アレック・ボールドウィン)が調停役として派遣され、検察官のデイヴィスも立候補した市長選で点数をあげようと首を突っ込んできた。野心満々のTVレポーターのレベッカも、「公共図書館で事件発生!図書館員がホームレスを人質にしてこもる」とセンセーショナルな事件として煽る報道をする。さあ、事件の首謀者としてスチュアートはどういう対抗策にでるのか!寒波の深夜の中、事実を自分たちの野心のため捩じ曲げられたスチュアートとホームレスたちは思いもかけない行動に出るのだった…。

図書館員の役割を、奇抜なストーリー構成でありながら過激な描写のないヒューマンとユーモアでやさしく包み込む内容で、見る人の心をホッコリとさせてくれる上質なエンターティナー作品となっているのです。アメリカの一面を知るには絶好な作品でもあります。

ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。

星印は、4ッさしあげます。

5点満点中4点 2400円

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