第77回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で最優秀監督賞を受賞した作品です。太平洋戦争下(1941~1945)日本軍部の機密事項を暴こうとする、若き夫婦のスリリングな行動を描く内容となっています。
時代は1940年の戦争前夜の神戸。物産会社を経営する福原優作(高橋一生)は、新妻・聡子(蒼井優)に甥である文雄(坂東龍汰)を同行し満州に市場視察に行くと告げる。予定より2週間遅れて帰国した優作と文雄を神戸港に出迎えた聡子は、ふたりが見知らぬ女性(玄理)を連れているのに疑惑を覚える。というのは、幼馴染みで今は憲兵隊に勤務する津森泰治(東出昌大)が、聡子に正義感の強すぎる余りの優作の交友関係に対して忠告してくれていたからだ。その疑惑がさらに強まった事件が起こった。ふたりが満州から密かに連れ帰った女性が溺死し、文雄が優作の会社を辞職したのだ。さらに憲兵隊が優作の周辺を探りはじめている事を泰治から知らされる聡子。いても立ってもいられない焦燥感に駆られた聡子は、優作を問い詰める。愛する夫の身を案じる聡子の必死の問い掛けに、優作はついに重い口を開く。出張した満州で優作と文雄は、偶然に国家にとって不利益な軍部の行いを知ってしまったのだ。優作と文雄は、その事実を日本人の正義のために公表すべきだと決断し命を懸けて行動を開始しようとしていたのだ。だが、憲兵隊の動きも迅速だった。文雄が逮捕され無慈悲な取り調べで、優作の身にも危険が迫ってきた。聡子は決断する!たとえ<スパイの妻>として糾弾されようと夫の身を守ろうと!聡子の捨て身の行動がはじまるが…。
正義を貫くために騙し騙される愛憎の葛藤を心に抱えながら、堅く結びついた優作と聡子夫婦の信じる道を突き進むスリリングな行動を描いたこの作品は、物語の流れを二転三転させつつ、ラストのラストまで観客であるぼくらの予測をつぎつぎと覆しながら進む展開を満喫させてくれるミステリー・サスペンスな内容となっているのだ!
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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