「三国志」物語は、日本人に深く親しまれている中国古代の英雄譚だが、この物語を福田雄一監督が徹底的にパロディ化した痛快なコメディ作品にしているのです。
今から1800年前、400年つづいた漢王朝末期。中華覇権をめぐり群雄割拠した時代も、魏・蜀・呉の三国に覇権争いがしぼられていた!これが「三国」時代です。が、な・な・な~んと高名な歴史学者・蘇我教授(西田敏行)の新解釈による「三国」の英雄たちの人物査定はまったく違っていたのです!
口だけ達者だが戦うのが大嫌いな劉備(大泉洋)。目の上のタンコブの薫卓(佐藤二朗)と呂布(城田優)を超イケメン男・趙雲(岩田剛典)はヒッかけてきた絶世の美女?貂蝉(渡辺直美)にふたりを誘惑させ共倒れさせ、蜀ナンバーワンになるのです。残るは、最大勢力の魏の超がつくオンナ好きの曹操(小栗旬)と、人の意見にすぐ左右される呉の孫権(岡田健史)と名高い美人妻・小喬(山本美月)を曹操に狙われたと頭カッカッの周瑜(賀来賢人)コンビ。戦略眼のない劉備と関羽(橋本さとし)張飛(高橋努)は、軍師として孔明(ムロツヨシ)をスカウトしにいくが[三顧の札]どころか即決でOKのはなはだ頼り甲斐のない男、どうも酒飲みの黄夫人(橋本環奈)にめっぽう弱いみたい、なぜ?ともあれ孔明の策?で劉備は、呉の孫権・周瑜コンビとタッグマッチを組み、50万の兵力の曹操軍と対峙する[赤壁の戦い]にのぞむ事になるのです。でも曹操軍50万に対して蜀・呉連合軍3万![どうあっても勝てないっしょ]とのたまう劉備に孔明はなんかしら自信満々?さあ孔明に秘策ありや?なしや?…。
かの英雄たちの全員がズッコケキャラの持ち主だったという蘇我教授の[怪解釈・三国志]話しを綴る福田監督の[新解釈・三國志]は、動きのギャグでなく会話のギャグに終始しているのです。大泉洋とムロツヨシの会話ギャグは折り紙づきの実力だが、小栗旬・岩田剛典・賀来賢人など若手美男俳優たちのまじめくさった会話ギャグによって痛快なコメディとなっているのです!また出色は渡辺直美のアクションギャグの振りも楽しめます。これだけ[三国志]を崩しに崩してくれたら、もう楽しむしかない!作品でした。
ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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