[週刊少年ジャンプ]で連載され人気を得た白井カイウ・出水ぽかす原作のコミックを、平川雄一郎が監督した作品です。
山奥にひっそりと建つ孤児院「グレース=フィールドハウス」は、15歳未満の子供たちを収容している楽園を思わせる施設。慈愛に満ちた院長イザベル(北川景子)を子供たちは「ママ」と呼び慕い、いつかやさしい「ママ」の世話で里親に引き取られる日を待ちわびていた。そんなある日、年少のコニーに里親が見つかったと「ママ」が皆に報告してきた。皆に祝福されながら旅立つコニー。見送った直後、コニーが大事にしていた人形がポツンと置かれたままであるのを見つけた最年長者でリーダー格のエマ(浜辺美波)とノーマン(板垣李光人)は、同じ年長者であるレイ(城桧吏)に「まだ出発していないはず」と指摘され、近づくことを「ママ」から禁止されている[門]に人形を持っていくと無惨な死体となったコニーを発見する。驚愕で凍り付いたエマとノーマンがそこで見たのは巨大な[鬼]だった!幸せに満ちたはずの[グレース=フィールドハウス]の実態は<鬼に献上する食用児を飼育する農園>で、愛する「ママ」は<最上級の食用児を育てる飼育監>だったのだ!楽園と信じた場所が偽りであると気づいたエマとノーマンは、レイに見た事実を話して孤児全員を連れて脱走する計画を模索しはじめる。そんな時、「ママ」イザベルひとりだけの管理の孤児院に補佐としてクローネ(渡辺直美)が本部から派遣されてくる。すべてを見透かすようなクローネの監視に怯えながら、エマ・ノーマン・レイの年長3人は脱走計画を考えるが…。
緑輝く深い森・白亜の殿堂・子どもたちのまっ白な制服。コントラストのはっきりした色彩を分かつ生命力・無垢の象徴色を背景としつつ、それを無残に蹂躙しようとする様を描くこの作品は、同時に争いがたい運命に負けずに最後まで頑張る若い活力を描いていく内容となっているのです。その色彩感は評価できるのだが、鬼の登場するCG描写は全体の雰囲気を壊すやらずもがななシーンではないかと思う。この作品の性格上、幻想的ホラーと思うので[鬼]をイメージ化した描写の方が静謐な怖さを高め緊張感がある内容となっていたのではないか?
ぼくのチケット代は、1900円出してもいい作品でした。
星印は、2ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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