色々紆余曲折ありながら、でもラストはハッピーな結末を用意していますよ!ハリウッド映画が最も得意とする創世期からの伝統的娯楽映画手法を、きちんと踏襲した音楽業界を舞台とした楽しめる内容となっているのです!
音楽が好きなマギー(ダコタ・ジョンソン)は、大学を出た後あこがれの音楽業界の仕事についている。夢は音楽プロデューサーになる事なのだが、今は幼い頃から大好きな伝説の歌姫グレース(トレイトー・アリス・ロス)の下で雑用係をしていた。もう中年に達したグレースは、過去のヒット作を歌いながらの公演で生活していたが、過去のリミックスばかりでなく新作アルバムを作りたいと思うものの、もし失敗したらという不安からまよっている。そんなグレースの姿を見て、踏み出してと願うマギーは背中を押したいがそこは雑用係の身、アドバイスも出来なくてイライラしている。そんなグレースにラスベガスの興行主から長期間公演のオファーが来る。条件は過去の大ヒット作ばかりを歌う公演形式というものだった。長年グレースのマネージャーを勤めるジャックが橋渡しをしたものだが、マギーはその契約を受けたらもう新作アルバムの夢は墜えるのにと思い心が暗くなる。そんな時、マギーは魅力的な歌唱力をもつデヴィッドに出会う。デヴィッドを売り出したいと思うマギー。しかし何故かしらデヴィッドは乗らない?あれやこれやとデヴィッドの世話を焼くマギーは、ついグレースへの仕事を怠り怒りをかってしまいクビにされてしまう。音楽業界への夢を絶たれたと思ったマギーは、失意の心を抱えて故郷の父親の元にもどっていくのだが…。
音楽業界の内幕を随所にちりばめながら、その世界で成功したいと頑張るマギーの若い心と、功なり後は堕ちていくだけとの恐怖心を抱えてそれでもかすかな夢を求めるグレースの切ない願望がクロスしながら進む内容と相俟って、多彩な脇役を巧みに絡ませる展開は、典型的なウェルメイドな手法であるのだが、そこはハリウッド!最後までハラハラさせながら楽しませてくれるエンターティナーの王道をいく作品に仕上げていたのです。
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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