小説すばる新人賞を受賞した行成薫の同名小説を、佐藤祐市監督が演出した作品です。社会の底辺で育った3人の少年少女が育む友情と愛の果てに待ち受ける哀切な運命を描いた内容となっています。
半ば崩壊したような家庭に育ったキダ(岩田剛典)とマコト(新田真剣佑)は、小学校時代からの親友だ。マコトのドッキリ遊びに閉口しながら、キダはそうされるのを楽しんでいた。小学校高学年の時にもう1人の仲間が加わった!転校してきたヨッチ(山田杏奈)という少女。貧しい身なりのヨッチにキダとマコトは同じ匂いを感じ、ヨッチを守りながら、いつも3人でつるむ親友となり中・高と楽しく遊び語らっていた。だが、20歳になった時、ヨッチは2人の前から姿を消した?高卒でキダとマコトは、うさん臭い自動車修理会社社長(大友康平)の下で働いていた。そこに有力政治家でトップモデルのリサ(中村アン)が犬を轢き破損した超高価な外車の修理を依頼してきた。マコトはリサに異常な興味を抱きつき合いを求めるが、リサはにべもなく拒否する。キダはマコトに、リサは住む世界が違う女性だと忠告するが、なぜかマコトはリサに執着しキダの前から忽然と姿を消す。2年後、不可解な事情から修理会社が廃業になった。社長はキダに裏社会の男(柄本明)を紹介し、その下で<交渉屋>として頭角を現しながらマコトの行方を探っていた。見つけたマコトは何と高名なワイン会社の経営者となっていたのだ!マコトはキダに、社会的地位がリサと同格となり、リサが自分を愛する相手として認めさせるため、ここまで頑張ったと言う。なぜマコトが、そんなにしてまでリサに執着するのか?理由を知ったキダはマコトに協力する約束をする。<交渉屋>の裏社会のキダ、<会社経営>の表社会のマコトは、それぞれの分野でタッグを組み、クリスマスイブにマコトがリサにプロポーズする瞬間を発表するイベントの日を迎えたが…。
名も無き世界に住むはずのキダとマコト、そしてヨッチたちが辿ったエンドロール!エンディングまで伏せられた真実の姿を描写するため、3人の友情と愛を小・中・高と繰り返し見せるシーンは、正直小説を読まずに見せられる観客にとって退屈なシーンに写るのだが、それはラストに氷解する仕掛けとなっているのだが少し伏せすぎなのだ!
ぼくのチケット代は、2000円出したい作品でした。
星印は、2ッ半ぐらいかなと思います。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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