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ファーストラヴ

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   2021/02/23

衛藤賢史のシネマ教室

直木賞を受賞した島本理生の同名小説の映画化作品です。胸に秘められた苦い記憶に悶え苦しむ殺人犯の若い女性の心の深淵を、ジャーナリストで公認心理師の女性が探っていく内容となっています。

高名な画家で大学教授の父親を殺害した容疑で逮捕された環菜(芳根京子)が、<動機はそちらで見つけてください>という挑発的言葉で世間を騒然とさせた事件に、ジャーナリストで公認心理師の真壁由紀(北川景子)は環菜のある種の心理的不安定の匂いを感じ取材しようと考えはじめた。環菜の弁護士は、由紀の夫で写真家・我聞(窪塚洋介)の弟・庵野迦葉(中村倫也)である事も幸いし、由紀は環菜への面会を許可されるものの環菜の挙動は不安定で虚実ない混ぜの言葉に翻弄される。二転三転する環菜の言葉に悩む由紀に、穏やかでやさしい我聞に比べてニヒルで激しい性格の迦葉に「由紀は環菜と同じ心の屈託を抱えているのじゃあないか」と指摘された由紀は、心の奥深くに封印していた自分の過去に向き合うことになる。自分がなぜ心の有り様を探る心理師になったかについて真摯に向き合いはじめた由紀。同時にそれは由紀の心を不安定にしていくのだが、それを我聞は静かに見守る。今や環菜の心とクロスするようになった由紀は憑かれたように、環菜の過去を探す取材に没頭し、次第に環菜の過去の闇の世界を一本の線として見つけていく。そして、その作業は由紀の過去を見つめるものともなったのだ。同じような心の闇を抱えた由紀と環菜の心が融和し沸点に達したとき、環菜はついに事件の全容を告白するのだが…それは!

殺人を犯した環菜!その事件を取材する由紀!両者の封印した過去の出来事をメインに展開しながら、殺人にいたる事件の真相が判明していくサスペンスフルな内容を交錯させるこの作品は、実はあまり楽しい話ではないのだが、ベテランの堤監督のしっかりしたエンターティナーな演出により見せる映画となっていた。北川景子の強い眼力に!芳根京子の錯乱した演技!その両者を支える中村倫也・窪塚洋介の剛軟な演技も光る、俳優陣のコンビネーションもいい作品でした。

ぼくのチケット代は、2100円出してもいい作品でした。

星印は、3ッさしあげます。

5点満点中3点 2100円

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