笠原真樹の人気コミック「群青戦記グンジョーセンキ」を、本広克行監督が映画化した作品です。内容はオールドファンにとって懐かしい「戦国自衛隊」(;79)の高校生版タイム・スリップSF物となっているのです。
文武両道の星徳学院高校である日、空がかき曇り巨大な雷が学院に落ちた。その瞬間、学院付近の地形が一変し、突如として学院に野武士たちの集団がなだれ込んできた。訳が分からず逃げまどう生徒たちに次々と斬りかかる野武士たちに学院は阿鼻叫喚の有様と化した。弓道部に属しながら、目立つことが嫌いな西野蒼(新田真剣佑)はインター・ハイの成績に興味をもたず、好きな日本の歴史に励んでいた。その知識で蒼は、学院の立地条件から<桶狭間の戦い>の直前の戦国時代にタイム・スリップしたことに気づく。そして襲ってきたのは織田信長(松山ケンイチ)の軍勢と歴史の知識から判断する。人質として連れ去られた中に蒼の幼馴染みで弓道部女子部のエースである瀬野遥(山崎紘菜)もいた。当時、今川氏に属し信長と敵対する側の松平元康<後の徳川家康>(三浦春馬)から収容された蒼たち学院の生徒たちは、元康の配下とされ先兵として抱えられ人質となった仲間たちの救出を図ることになる。各種スポーツのエリート生たちは、自分たちの得意な得物で信長軍に立ち向かう。リーダーとなった蒼を中心に作戦を練り人質救出に向かう頃、学院に残った特進の頭脳集団は<桶狭間の戦い>直前が雷の鳴る大雨であることを知り、現代世界にもどる作戦を開始するが残された時間はわずか!果たして生徒たちは無事帰れるのか…。
タイム・スリップ物は、過去に戻る瞬間の特殊映像技術がキーになるのだが、この作品は成功したと思う。そして人の命など斟酌しない戦国時代にタイム・スリップした平和な時代の高校生たちが、どのようにしてサバイバルしていくのかも結構リアルな描写で表現しているのも見物となっており、辛い描写も多いのだが自分たちのスポーツで扱う得意な得物で立ち向かう様も工夫されていたと思う作品であったのだ。
ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。
星印は、3ッさしあげたい作品でした。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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