過去と現代が一本の無線機でつながり、未解決事件をおたがい協力しあいながら捜査していくというTVドラマ(元は韓国TVドラマ)を、オリジナル・ストーリーで映画化した作品です。
2021年東京。高速道路でハイヤーが暴走し乗っていた政府高官が亡くなった。桜井(吉瀬美智子)をリーダーとする警視庁の<長期未解決事件捜査班>は、過去のバイオテロ事件から事件性を感じる。それに呼応するように三枝(坂口健太郎)の持つ、過去に生きる大山(北村一輝)からの無線機が作動しはじめた。2009年。大山の生きる東京でも、警視庁の報告は暴走による事故死と処理され事件性を否定している事案となった。両親を過去のバイオテロで亡くした小泉(奈緒)は、この事故の得意性からバイオテロを疑うが、大惨事を起こしたバイオテロは完全に制圧したと政府側は否定する。2009年、暴走する車に乗った政務官を目撃していた大山はバイオテロがまだ収まってないと確信するも捜査を中止されていた。その状況を過去から現在に伝えた大山によって、三枝はリーダーの桜井ら<長期未解決事件捜査班>の仲間たちと秘密裏に捜査を開始する。2009年の過去に生きる大山も、坂口と密に連絡を取り合って再び中止されたバイオテロの可能性を捜査しはじめる。そして、現在に生きる三枝たちと過去に生きる大山の執念の捜査上に浮かび上がった驚愕の事実とは…。
本来は有り得ない事象をストーリーの核として取り組んだこの作品は、現在と過去に生きる刑事たちの捜査を丁寧に描写することによってドラマとして成立し得ていた。フィクションを大味にさせない手法とするための細部描写を大切にすることによって、観客が作品の中に感情移入させる構成は成功していたと思う。だが、クライマックスの三枝の乱闘シーンなど、作品を盛り上げるためのオーバーな描写は、返って観客の気分をそぐ結果となっていたと思うのだ!
ぼくのチケット代は、2200円出してもいいと思う作品でした。
星印は、2ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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