記事 > OBSラジオ > 情熱ライブ!Voice > 衛藤賢史のシネマ教室 > バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら
2021/04/13
映画やドラマで活躍する脇役俳優たちが主演し!主演を演じる俳優が脇を固める!という突飛な発想の作品なのです。日頃TVや映画などで馴染みの顔(と言っても顔は覚えているけど名前が出てこないという)の俳優さんたちが、実名のまま生き生きと演じている楽しい内容となっています。
富士山麓にある[バイプレウッド]という沢山のスタジオがある場所。TV各局や映画などの二次的撮影所ながら使い勝手がよく、賃借料も安いので多くのドラマが撮影中で連日大賑わいしていた。その中に本来ヤクザ作品のはずが企画変更?で子供向けの内容となった作品に主演する田口トモロヲ・松重豊・光石研・遠藤憲一は、仲間のベテラン脇役たちと共演し楽しくTV連ドラを撮影していた。その頃、撮影所の片隅で濱田岳・柄本時生・高杉真宙・芳根京子・菜々緒らの若手俳優たちが、犬を主役とした[銀河鉄道]をモチーフにした作品を最小限の予算で撮影していた。予算に限りがあるので俳優たちがスタッフを兼ね、濱田が監督兼務という心細い自主作品なのだが、濱田の演出構想でラストに100人の俳優が<銀河鉄道>に乗車する!という遠大な企画で役所広司が共鳴してくれ<銀河鉄道>の車掌役で特出してくれていた。しかし、俳優としては濱田の演技は定評はあるものの監督ははじめての経験で撮影は空回りし、主役の犬は途中で逃げ出してしまい撮影はストップしてしまう。見兼ねた田口トモロヲたちは、濱田組に協力するよう仲間たちに呼びかけるが何しろ時間勝負の撮影中で、スタジオ中は上へ下への大騒ぎとなってしまう。さあ!濱田組の撮影は無事完成できるのか…?
TVや映画でよく顔は知っているが俳優名は知らない!という脇役全員が実名役で登場するという絢爛豪華な脇役専門家たちが共演のこの作品は、スタジオ内で撮影される様々なドラマの進行ぶりを面白可笑しく紹介しながら進行するのも、ドラマ撮影はこうするんだ!というハウツウ物として見る面もあり楽しいのだ。そして、脇役たちの顔と名前(何しろ全員実名で登場するのだから)を覚えさせてくれて、彼ら彼女たちの演技力の巧みさを改めて知る内容ともなっているのだ。さあ、あなたはこの作品でどれくらい脇役俳優たちの顔と名前が一致しましたか?それくら沢山の脇役たちが登場する作品なのです!
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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