九州に住んでいる私たちは、冬のスポーツに知識が疎いので、スキージャンプ競技にテスト・ジャンパーなる裏方の存在があるとは知らない人々が多いと思います。この作品は、;98年長野五輪のスキージャンプ団体で金メダルを獲得したチームを、裏で支えた25人のテストジャンパーたちの、競技関係者以外にあまり知られない実話を基に作られた内容となっています。
長野の4年前の1994年。リレハンメル五輪で、日本のスキージャンプ団体チームは3番手の西方仁也(田中圭)の大飛行などで優勝をほぼ手中にしていた。しかし、ラストジャンパーの原田雅彦(濱津隆之)の大失速ジャンプで銀メダルとなってしまった。4年後の長野大会では29歳の西方は、妻(土屋太鳳)の励ましで長野五輪がラスト・チャンスと決心し日夜猛練習に励む毎日を送っていた。しかし、長野五輪を前にして連日の猛練習ではげしい腰痛に襲われ、痛みを隠して出場したジャンプ大会でジャンプに失敗して大怪我をしてしまう。連日の苦しいリハビリに耐えて復帰したものの、船木選手など気鋭の若手の台頭で西方は代表選手から外される。失意の西方にコーチ(古田新太)からテストジャンパーを打診され、悩んだ末に引き受ける。本来メダリストの選手がやる裏方仕事でないのだが、西方には大会現場の雰囲気を肌で感じたかったのだ。
;98年長野五輪の幕が切って落とされた。
今度こそ金メダル!日本中が固唾を飲んで見守るジャンプ団体の一本目に天候が悪化し原田はまたもや失速ジャンプをしてしまい4位になってしまう。天候がさらに悪化すれば一本目で勝敗が決まる絶体絶命のピンチの時、審判団の協議で25人のテストジャンパー全員の試技が成功すれば、二本目のジャンプを再開するという達しがテストジャンパーたちに伝わる。この悪天候の中、日本のかすかな望みは西方たち25人の裏方ジャンパーたちのジャンプに託されることになったが…。
実話を実名選手を基にして作られたこの作品は、それ故にドラマ作成に苦労したと同情するが、少し平板な作りになってしまっていた。ただスキー・ジャンプ競技がいかに過酷なスポーツであるのか分かり易く見せてくれる事は評価したい作品となっています!
ぼくのチケット代は、2000円出してもいい作品でした。
星印は、2ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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