大企業に伍して個人経営でバラ園を営む女性が、倒産の危機に直面しながら雇入れた素人集団と一発逆転の新種のバラを作り出そうと頑張る姿を、コミカルに描いていくフランス映画らしいウィットに富んだ内容の楽しい作品になっています。
父が残してくれたバラ園を経営するエヴ(カトリーヌ・フロ)は、これまで沢山の新種のバラを作りあげコンクールで賞を獲得してきた中年の独身女性。しかし最近は、大きな企業の資金に物をいわせる新種のバラ開発に押され倒産の危機に陥っており、雇い人たちも次々と去り人手も足りない状況となっていた。ただ一人残った経理担当のヴェラは、窮余の一策として<社会復帰協会>に依頼し3人の男女が派遣されていきた。若い男性フレッド(メラン・オメルタ)は前科者、若い女性のナデージュは極端な内気気質、中年のサミールは最後のチャンスで正社員狙い、というバラに関しての知識は皆無の頼りない3人であり、エヴは頭を抱えてしまう。しかし、この3人は盛大な失敗をくり返してくれるが、エヴの精緻な育種家の腕に感心し熱心に新種のバラ作りに協力するようになる。倒産の危機を立ち直らせる手段は、誰もが見たことのない世界初の新種のバラの交配を成功し、バラの国際新種コンクールで優勝することと考えたエヴは、とんでもない計画を立てる。3人を無理やりに参加させ守備よく成功したエヴは、起死回生の新種のバラの交配に取り組む。そしてその過程の中でエヴは3人の特殊な才能を発見する。さあ!エヴとこのド素人3人組のスタッフによる賭けは花開き、国際新種バラ・コンクールに栄冠を勝ち取ることが出来るのか…。
フランスの美しい風景を背景に展開する、のどかでユーモアに満ちた物語は、バラ好きな人々にとって涎が垂れそうな内容となっているのです!特に新種のバラ作りの細かで精緻に富む作業などは思わず見入ってしまうでしょう。そしてド素人の3人組の成長ぶりに思わず拍手を贈りたくなる!キュートな内容となっているのです。
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、4ッさしあげたい作品でした。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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