中国のすさまじい進学競走を背景に、貧しさから逃れるために勉学に励む少女と、貧しい境遇でストリート・チルドレンとなった少年の、魂をゆさぶる純愛を描いていく作品となっています。中国では諸般の事情から宣伝がされないまま封切られたにも関わらず、内容のすばらしさに口込みで観客が押し寄せ大ヒットし、香港映画祭で作品・監督・主演女優など8部門で受賞した作品なのです!
貧しい母子家庭から超進学高校に入った高3のチェン・ニェン(チョウ・ドンユイ)は名門大学に入るため日夜一心不乱に勉学に励む少女。同級生のすべてがライバルであり、相手を落とすため陰湿なイジメが横行する中、ひとりの少女が校舎から飛び降り自殺する事件が起こる。その無惨な遺体にニェンは思わず自分の上着をかけてやるが、その事でイジメの矛先がニェンに向く。富裕家庭の多い学校では、貧しいニェンには友人もなく陰湿なイジメに耐えるしかなかった。そんな折、ニェンは帰宅途中のスラム街で集団暴行を受けていたシャオベイ(イー・ヤンチェンシー)を咄嗟の判断で救う。ガチガチの不良少年であるシャオベイだが、ピュア―な心根を残している少年だった。本来相まみえるはずのなかったふたりだったが、この出来事を通して最底辺の貧しさを生きるニェンとシャオベイは心を通わせはじめていく。そして、全国統一入試が迫った時期、ニェンへのイジメが激化する中、ある事件が勃発した。そこでシャオベイが決断した事は…。
富と貧の社会現象の中、そこから這い上がるための名門大学の苛烈な進学競走を勝ち抜くためイジメに耐えひたすら努力する少女と、這い上がることすら考えることの出来ない不良として生きる少年の、ピュアーな純愛を描いていくこの作品は、先の読めないストーリー構成によって一瞬も目を離せない内容となっているのだ!ひっそりと封切られながら、口込みで大ヒットしたのは当然と思うような、強烈な緊張感ある内容を有しつつ、魂を揺さぶるような純愛で帰結することによってこの作品は、一級の内容になっていたのです。
ぼくのチケット代は、2600円出してもいい作品でした。
星印は、5ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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