<ジブリ>にとってはじめてのフルCGアニメ作品となっています。イギリスの絵本を基にして、宮崎駿が企画し令息の宮崎吾朗が監督しています。
デーモンたちが組んだロックグループ内の諍いから、メンバーから追われる身になった若き魔女は生まれたばかりの娘のアーヤを、人間が営む孤児院の玄関に置いて立ち去りました。やさしい院長の下でスクスクと育ったアーヤは元気のいい子に育ち、今や施設を楽しい我が家として毎日活発に走り回るオテンバな少女になっていました。ある日、何かしら気味のわるい夫婦が訪れてアーヤの引取り人となりました。仲のよかった仲間たちと別れ、夫婦の家で暮らすようになったアーヤは毎日こき使われる身となったのです。この夫婦の正体はデーモンであり、奥さんの魔女は口やかましくアーヤを魔女薬を作る下働きとして朝から夜まで働かせています。デーモンである夫はいつも不機嫌で、奥さんの魔女も夫の前に出るとオドオドしていました。そんな境遇になっても元気なアーヤはへこたれません。それどころか、魔女の作る魔女薬に興味を持って作り方の秘密を探ろうとしていました。そして夫の不機嫌さは、書いている小説が新聞紙上で不評なのを知ってアドバイスをして、この夫の不機嫌さを直していくのでした。どんな境遇になっても、そこで楽しい環境にしていこうと考えるたくましい心のアーヤの行動は、テンヤワンヤの大騒ぎを起こしながら、しだいにデーモン夫婦の心を溶かしはじめていくのですが…。
<ジブリ>特有の背景シーンの緻密な美しさは、CGにおいても発揮され全編に目を見張るような色彩感を持つ作品となっていたのです。しかし、お話しの内容はその大半が魔女の家内でだけで起こる出来事に終始するので、あまり物語の広がりがなく、見ていて単調すぎで少し退屈してしまう構成となっていたと思います。絵本の映画化だと言われると仕様がないと思うのだが、そこは大人も子供も楽しませるジブリブランドの作品として、もう一工夫が欲しい作品となっていたのです!
ぼくのチケット代は、1900円ぐらいかと思う作品でした。
星印は、2ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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