デジタル社会に生きる高校生のSNSを題材にした、ブロードウェイのミュージカルを映画化した作品です。
看護師の母親(ジュリアン・ムーア)とふたり暮らしの高校生エヴァン・ハンセン(ベン・プラット)は、内気で人との会話が苦手な少年だった。心配した母親は、セラピストの指示通りエヴァンに毎日パソコンに自分宛ての手紙を書かせていた。ある日、学校で問題児のコナーに言いがかりをつけられ、その<ディア・エヴァン・ハンセン>からはじまる手紙を取られる。それにはエヴァンの誰にも見られたくない正直な<心の声>が赤裸々に書かれていたのだ。そのコナーが自分の手紙を持ったまま自殺してしまった。コナーの両親は、その手紙をコナーの遺書と思い!エヴァンが親友だったと思い込む。両親に招待されたエヴァンは、その心を傷つけたくない思いにコナーと親友だとして、有りのしない話しを作り上げ両親をよろこばす。エヴァンの<有りもしない>思い出話しによって、学校の仲間がコナーを悼んでその話しをSNSで発信する事により、世間の注目を浴びるようになる。SNSで問題児のコナーにやさしく接したと思われたエヴァンは、学校ばかりか世間から称賛され人気者になる。今まで誰からも<いない存在>的扱いを受け、孤独の心を抱えていたエヴァンは級友たちから尊敬され、憧れていたコナーの妹からも愛を打ち明けられ有頂天になる。しかし、エヴァンのやさしい心からくる!実は有りもしなかったコナーとの思い出話しの<嘘>は、思いのよらない方向へと事態を動かしていくのだった…。
SNSで拡散するデジタル社会の出来事と、人との繋がりが稀薄になった現代社会の世相をミュージカルで扱ったこの作品は、かってのきらびやかなミュージカルの匂いは影を潜め、歌詞で現代世相の辛さを訴えかけてくるのだ。それを是とするか否とするかは、見る人の判断にまかせるしかない作品となっていると思います!ぼく個人としての思いは否定派となる作品でした。
ぼくのチケット代は、1800円出したい作品でした。
星印は、3ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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