男に伍しても負けない強い女性を描く作品(「エイリアン」「GI・ジェーン」など)でも定評である、リドリー・スコット監督がレディ・ガガを主演に据えて、男社会を烈しく生き抜こうとする女性を描く内容の作品です。実話を基にした話で、対する相手はファッション業界の超ブランドGUCCIを仕切る創業者一家の男たちなのです。
1978年、25才のパトリツィア(レデイ・ガガ)は家族で経営する小規模運送業の娘として毎日キビキビ働いていた。そんなある日、友人から誘われパーティーに参加したパトリツィアは、控えめで知性的な男と知り合い、おたがい恋情を抱く仲になる。だが相手の男マウリツィオ(アダム・ドライバー)は、何と名高いGUCCIの息子であり家柄が違いすぎるために、GUCCI家の財産狙いの小娘としてパトリツィアは、マウリツィオの父ロドルフォ(ジェレミー・アイアンズ)から冷たくあしらわれる。しかし、いつも父に従順なマウリツィオが強烈に反発して、ふたりは正式に結婚する。この結婚んに賛同したのは、父の兄アルド(アル・パチーノ)だった。アルドはNYに店を持ち、ロドルフォと50%ずつのGUCCIの株式を共有していた。アルドの息子は、経営者とは不向きな性格で、将来三代目の経営者として才気活発なパトリツィアを妻に持つマウリツィオに期待をかけていたのだ。順風満帆な結婚生活を送り娘を生んだパトリツィアは、今や自信満々なセレブ夫人として、GUCCI家に君臨する身になり経営にも口をはさみはじめる。しかし、その自信がパトリツィアの気持ちを膨らませ始め、だらしない男性にとって代わりGUCCIの最高経営者になりたいと考えはじめる。その野望がパトリツィアを奈落の底に落とすと思わずに・・・。
超セレブな目もくらむような美世界の有様や、イタリアの雄大なロケーションを背景に駆使して描いていくこの作品は、女性の権利が男性に比べて劣る時代に有能な才能を有するが故に落ちていく、ひとりの女性の愛憎劇を克明に浮かび上がらせていくのだ。
ぼくのチケット代は、2200円出してもいいと思う作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
©2024 Oita Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.