1961年に、ロバート・ワイズ監督によって、ブロードウェイミュージカル上演演劇を映画化して、ミュージカル映画の概念を一新させた名作(アカデミー賞でも作品・監督を含む10部門受賞)を、巨匠スティーブン・スピルバーグ監督がリメイクした作品です。
1950年代のNY。ウエスト・サイドには、世界中から多くの移民が繁栄するアメリカ合衆国に、アメリカンドリームを求めて住み着いていた。しかし、差別や貧困に直面した若者たちは、同胞の仲間とグループを作り対立していた。特にポーランド系移民「ジェッツ」と、プエルトリコ系移民「シャークス」は、激しく対立する中だった。そんなグループ同士を何とか折り合いをつけたいと催されたダンスパーティーで、ジェッツの元リーダーのトニー(アンセル・エルゴート)は、シャークスのリーダーの妹マリア(レイチェル・ゼグラー)と出会い、一瞬のうちにふたりとも運命的な恋に落ちてしまう!!激しく燃え上がったふたりの恋心は、もはやグループ同士のいがみ合いなど眼中になくなっていたのだ。数々の障害をものともせずに突き進むふたりの燃え上がる禁断の恋は、やがて「ジェッツ」と「シャークス」の仲間たちの悲劇的な運命をもたらすことも知らずに…!
1961年に上映された作品の流れをおおむね遵守しながら展開させるスピルバーグ版「ウエスト・サイド・ストーリー」は、旧作のリスペクトにあふれた内容であり、特にレナード・バーンスタインの「トゥナイト」「マリア」「「アメリカ」などの名曲が随所に挿入されて、旧作を感動に打ち震えて見た世代には、あの若き日に魂が戻る至福の気持ちにさせられたのではないかと思うのだ。しかし、旧作のジェローム・ロビンスの振り付けによるダイナミックで切れ味のある、男女のダンスパーティーでのマンボの群舞場面や、路上でのシーンず姿の統制されたカッコいい郡部で、以降のミュージカル映画の定型的スタイルを一新させたモニュメントダンスには、今回のジャスティン・ペックの振り付けは色彩の氾濫に比重を置きすぎ、群舞に切れ味が足りなかった。実は旧作でも、スターはマリアを演じたナタリー・ウッドのみで、その頃は日本ではミュージカル映画はヒットしないと考えられ、たぶんおそるおそる封切りされた作品が、二週ぐらいから若者たちの口コミで大ヒットした作品なのだ!この作品も無名の俳優だが、スピルバーグの手腕でしっかり見せる内容となっているので、映画ファンの若者たちには、満足感を与えるであろう作品になっていたのだ。
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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