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東京2020オリンピック SIDE:A

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   2022/06/07

衛藤賢史のシネマ教室

世界中が予想だにしていなかったコロナ禍で、一年延期され2021年に無観客で開催された、『東京オリンピック』の公式映画として製作されたドキュメンタリー映画です。総監督にはカンヌ国際映画祭の常連の河瀬直美が起用され、5000時間に及ぶ膨大な記録をもとに120分に編集された作品となっています。ちなみに、1964年に開催された『東京オリンピック』公式映画の監督は市川崑が勤めています。

現代風にアレンジされた『国歌』の旋律からはじまるこの作品は、開催前のアスリートたちの、それぞれの国家の事情を語るモノローグに映像を絡ませる手法ではじまる。その手法は、オリンピックが開催された映像にも、参加したアスリートたちのアップ・ショットを多用しながらインタビュー形式で随時インサートされて進められていく。それは、個人の尊重であり、ジェンダーや偏見など、多岐にわたる現代世界が抱える問題意識の発露にスポットを当て、アスリートたちが自在に語るのを中心にして編成された河瀬風ドキュメンタリーになっていたのだ。それ故に、このドキュメントの主役は女性たちとなっている。

開催された沢山の競技内容は、それに沿って厳選された数種類に絞り込まれ、試合の合間にアスリートたちや関係者のモノローグがインサートされる、徹底した個人尊重した内容になっているドキュメンタリー作になっていたのです。東京オリンピック開催について反対の声を押し切って、無観客による開催に疑問を持つ人も多かったが、いざ開催されると日本人アスリートたちの懸命にガンバル姿勢やメダル・ラッシュに沸いた人たちが、今一度その雄姿を見たいと思う方にとって多分肩透かしを食らう内容になっていると思う、多角的な視点の問題意識を扱う作品となっていたのです。でも、これが河瀬監督の『東京オリンピック』の総括なのです。

ぼくのチケット代は、2100円出してもいい作品でした。

星印は、3ッ半さしあげます。

5点満点中3.5点 2100円

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