デボラ・インストール原作のイギリスの小説『ロボット・イン・ザ・ガーデン』を、金子ありさが日本風にアレンジした脚本で、三木孝治が監督したファンタジーな作品です。
ある理由から、希望に満ちた医師への道を自分から閉じた春日井健(二宮和也)は、ゲーム三昧の毎日を送るダメ男になっていた。愛する妻で弁護士の絵美(満島ひかり)の励ましにもかかわらず、無気力な健の生活は収まらない。そんなある日、健の家の庭に記憶をなくした迷子のロボット・タングが突然現れる。ポンコツ姿の旧式ロボット・タングに健は呆れてしまうが、タングはなぜか健になつく。AI機能を持つタングは、自分の大事な記憶を失っていたが、健の本来の心根のやさしさを探知能力で察していたのだ。人間の持つ感情などないはずのタングだったが、タングにだけ本音をはける健の言葉で刺激を受け、AI学習能力の機能によってタングはしだいに人間らしい感情を会得していく。そんなタングを見捨てられず、健はタングの自分探しへの旅へと向かう。その結果、タングが失った記憶には、ロボット工学の世界を変える秘密が隠されているのが、しだいに判明してくる。福岡・深セン・宮古島へとつづくポンコツ同士の健とタングの自分探し冒険の旅の果てに、ふたりが見つけた大事なものとは・・・。
たぶん近未来的アドベンチャー・ファンタジー話と思われるこの作品は、ハラハラドキドキさせるものでなく、欠陥だらけのポンコツ同士の人間とAIロボットとの、人間らしい感情の交流を通じておたがいを認め合える世界観をテーマにした内容になっているのだ。だから唐突に進む話など無視して、そんなほのぼのとした話を楽しむことが肝要だと思って見てください。
ぼくのチケット代は、1800円出してもいい作品でした。
星印は、2ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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