1789年。フランス革命が発生した年に、もうひとつの革命が起こりました!それは「食の革命」なのです。フランスではじめての庶民が集う「大衆レストラン」が誕生したのです。この作品は、「大衆レストラン」が誕生するまでの顛末を、小粋な演出で最後まで楽しませてくれる内容となっているのです。
気位が高く傲慢な性格ながら、貴族たちの間で有名な美食家のシャンフォール公爵の専属料理人であるマンスロン(グレゴリー・ガドゥボワ)は、公爵が催す貴族たちとの宴会でジャガイモ<当時のフランスでは豚の餌として使用されていた>をあつらうことによって甘味が増す創作『デリシュ』を出したことから、公爵の威厳を傷つけたとして解任され、読み書きできる知的な息子を連れて故郷に帰る。料理人の誇りを傷つけられたマンスロンはもう料理をしないと決め、故郷で中継所<簡易宿舎>の仕事をすることにした。そんなある日、鬱々としていたマンスロンの下に、ルイーズ(イザベル・カレ)という女性が住み込みで料理を学びたいと訪れる。女は料理人になれない仕組みになっているのにと邪険にしていたマンスロンだったが、ルイーズの真摯な態度に触れるうちに料理の情熱を取り戻していく。そして、ルイーズや息子の様々な斬新なアイデアによって、この中継所で誰でも気軽に美味しい料理を楽しめるレストランをマンスロンは開業することにする。だが、ルイーズには、マンスロンがひそかに心配していたある思惑があったのだ・・・。
フランス革命の波が渦巻く時代を背景に、もうひとつの平和な革命の顛末を描いていくこの作品は、庶民の心意気を語らいながら、サスペンスとハウツーを見事に織り交ぜて、最後の最後にニッコリしながらいい余韻を心に残して映画館を出られる、心憎い内容の知的魅力にあふれる見ごたえのある上質の娯楽映画となっているのです。
ぼくのチケット代は、2600円出してもいいと思う作品でした。
星印は、5ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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