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衛藤賢史のシネマ教室

ヘルドッグス

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   2022/09/27

深町秋生の小説『ヘルドッグス/地獄の犬たち』を、原田眞人監督が『関ケ原』『燃えよ剣』につづいて岡田准一を主演に据えた、壮絶な内容のクライムアクション作品です。

元警視庁警官の兼高昭吾(岡田准一)は、自分の管轄内のスーパーマーケットでバイトしていた恋人を外国人の強盗に殺され復讐の鬼と化した。警官を辞め、逃げ延びた複数の犯人たちをアジア各地で追い詰め、容赦ない手段で殺戮していったのだ。その手段の獰猛さから、警視庁の裏捜査エースの阿内(酒匂芳)からスカウトされ、関東最大のヤクザ組織へ潜入捜査を命じられる。任務は、若きトップの十朱(MIYAVI)が持つ【秘密ファイル】の奪取。阿内のデータ分析で、兼高との相性が98%と算出された、組織内のサイコパスな性格の室岡秀喜(坂口健太郎)を取り込み、バディとなるよう命じられる。首尾よく組織に入った兼高は、ヤクザの筋目を通す幹部の土岐(北村一輝)の知遇を得てその下につく。そして、データ通り室岡も兼高の獰猛な立ち振る舞いに尊敬して、相性サイコーなバディとして土岐に仕えて、ふたりは着実に組織の立ち位置を上昇させていく。しかし、地位を確立していく兼高は、若きトップの十朱の只ならぬ才能で組織を統括する手腕に驚愕することになる。血も涙もかと思うと組織の部下を思いやる、信賞必罰の扱いで土岐をはじめ部下から絶対の信頼を得て、ガッチリと十朱の回りを固めている組織のありさまを見ながら、兼高は改めて任務のむつかしさを思い知る。だが、阿内もそれを見越して兼高のほかに潜入メンバーを抱えていたのだ。事態は錯綜しながら、最後のキーは兼高に集結しつつ闘いがはじまる・・・。

始まりから終わりまで、目を覆うような血なまぐさいシーンがつづくこの作品は、この手のバイオレンスアクションが苦手な方に推奨できない内容となっていることを、はじめに断っておきます。でも、全身に入れ墨をした無口の虚無感あふれる岡田准一の演技や格闘技の冴え、陰陽相半ばするクレイジーな狂乱ぶりを見せる坂口健太郎の格闘技や演技も一見の価値あるのです。加えてMIYAVIの若きヤクザのトップの見ほれるようなカッコいい演技ぶりも見事でした。確信犯と思える原田眞人監督のシュール極まる演出に踊らされ、個性的な俳優たちがスクリーンいっぱいに乱舞するような役柄に乗せられて演技するさまを、ぼくは楽しむことができた作品でした。

ぼくのチケット代は、2100円出してもいい作品でした。

星印は、3ッさしあげます。

5点満点中3点 2100円

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