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アイ・アム まきもと

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   2022/10/04

衛藤賢史のシネマ教室

水田伸生監督と阿部サダヲの名コンビが、4度目のタッグを組んだヒューマン・コメディ作品です。

東北地方の小さな市役所で、『おみおくり係』として働く牧本壮(阿部サダヲ)は48才の独身男性。この町で人知れず亡くなった人を埋葬する係をしているが、故人の生前の思いを大切にするあまり、自分の費用で葬式をするなど、周りの空気をよめない牧本の行為は、役所や警察の決められたルールを無視して突き進む行いで、周囲に迷惑をかけてばかりいた。今日も牧本は、アパートで孤独死した老人・蕪木(宇崎竜童)の埋葬をすることになる。係の警察官・神代(松下洸平)とケンカしながら埋葬を先延ばしして、遺品から蕪木の縁者を探している最中に、役所の新任局長が『おみおくり係』の廃止を決定する。蕪木の案件が<最後の仕事>となった牧本は、遺品の写真をわずかの手がかりにして、蕪木の生前の知人たちを訪ねていく。とある工場で蕪木と元同僚で、指を事故で失った平光(松尾スズキ)。漁港で居酒屋を営む元恋人・みはる(宮沢りえ)。炭鉱で蕪木に命を救われたという槍田(國村隼)。これらの人々の言葉から、生前の蕪木の生きざまが牧本の頭にくっきりと描き出されていく。そのことを知らせようと牧本は、写真に写っていた蕪木の娘・塔子(満島ひかり)を探し当て訪ねていく。塔子は亡き母と自分を捨てて家出した蕪木を恨んでいたが、牧本の言葉で次第に父の人となりを理解していき、牧本の人柄に好意を持ちはじめるのだった。そんな塔子に淡い恋心を抱いた牧本は、自分のために手に入れていた墓地の権利を塔子に譲る決心をするのだが・・・。

人の心の微妙な会話の空気を読めない牧本の、空回りするとんちんかんな会話に何回もプッと吹き出しながら見るこの作品は、見るうちに次第に心が温まり、居ずまいを正される気分にさせられる、個人の尊厳を扱う良質なヒューマン・コメディとなっていたのです。この作品は、前にシネマ5で上映された『おみおくりの作法』と同じ原作のイギリス・イタリア合作映画の日本版なのですが、イギリス・イタリア版にも負けない出来具合となっているのです。阿部サダヲだけでなく、宮沢りえ扮する元恋人・みはるの出色の演技も見物なのです!皆さんにお勧めしたい作品です。

ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。

星印は、4ッ半さしあげます。

5点満点中4.5点 2400円

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