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耳をすませば

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   2022/10/18

衛藤賢史のシネマ教室

スタジオジブリ製作『耳をすませば』(1995)の主人公である、中学3年の月島雫・天沢聖司が大人に成った10年後を、オリジナルストーリーで描いていく実写映画です。

ふたりが心を通い合わせて10年後、25歳になった雫(清野菜名)は、児童本出版社の編集人として勤務する傍らで児童本の応募を繰り返し、聖司と約束した作家への夢を追いかけていた。中学時代の仲間と今でも仲良くしながら、イタリアでチェリストとして修業している聖司(松坂桃李)を想い起こし、応募に何回も落選するという挫けそうな心根を奮い立たせていた。そんな雫の心の拠り所は、今でも元気な聖司のおじいちゃん(近藤正臣)とバロンのいる工房を訪ねることだった。おじいちゃんとバロンに会うと、雫は中学3年時代へと心が回帰していくのだ。読書が大好きで元気いっぱいな雫(安原琉那)と聖司(中川翼)との本をめぐるバッドな出会い、だけど聖司は中学生なのに、雫が思い浮かばないような大きな夢を持っていることを知り、しだいに心が惹かれる自分の心のときめきからはじまり、中学卒業後単身でイタリアに渡りチェリストの道を志す聖司との、固く約束した10年後の再会を守るという決意が雫の心の支えになっていたのだ。そんなある日、雫は自分が担当する作家(田中圭)から、担当を外れてくれと言われる。担当する作家に本の感想を求められ、編集人として思わずおもねる言葉を言ってしまい、それまでは雫の感性のまま正直に直言する言葉を糧にしてきた作家の静かな怒りを買ってしまったのだ。俗になった自分の心を恥じた雫は、そんな自分の心を洗い直すため、愛する聖司に会おうと決心してイタリアに行くのだが・・・。

平川監督が、こんなにも『耳をすませば』アニメを愛していたか分かるような、清潔で清純な作品に仕上げていました。聖司のバイオリンを作るためイタリアに渡る原作やアニメの設定を、チェロ奏者志望と大胆に変更していたのに驚きましたが、実写版としては映像的には動きが活動的になると判断したと好意的に解釈して見ました。聖司がチェロを弾き、雫が<カントリーロード>を歌うイタリアでの、松坂桃李の楽しそうなリズミカルな表情が楽しかったです。

ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。

星印は、3ッ半さしあげます。

5点満点中3.5点 2200円

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