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天間荘の三姉妹

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   2022/11/01

衛藤賢史のシネマ教室

高橋ツトムの『スカイハイ』の漫画を、北村龍平監督がスピンオフした作品です。【人が生きる意味】についての心の根幹を描いていく、スピリチュアル・ファンタジーなお話しになっているのです。150分という長さですが、ぼくは最後まで退屈せずに見ることが出来ました。

天界と地上の間にある街・三つ葉で、老舗旅館『天間荘』の若女将・天間のぞみ(大島優子)と、妹でこの街の水族館でイルカのトレーナーをしている天間かなえ(門脇麦)が、腹違いの妹・小川たまえ(のん)が客としてくるのを待っていた。のぞみとかなえの母で旅館の大女将・恵子(寺島しのぶ)は、ふてくされて出てこない。ここから逃げ出した旦那(永瀬正敏)が、よその女に産ませた子供を迎えるのが嫌だったのだ。『天間荘』に来る途中のタクシーで、たまえを連れてくるイズコ(柴咲コウ)と名乗る女性は「天間荘で魂の疲れを治して、元の肉体に戻るか、そのまま天界に旅立つかを決めなさい」と言う。たまえは交通事故にあい瀕死の身に陥っていたのだ。しかし、たまえは客としてではなく『天間荘』で働きたいと申し出る。母を亡くし、父も行方不明の天涯孤独のたまえは、歓迎してくれた異母姉妹に心からの親しみを覚えたのだ。天真爛漫で元気いっぱいなたまえの働きぶりは、先客である小言ばかり言う老婦人(三田佳子)の屈託ある心を溶かしていく。たまえを拒否していた大女将も、心の清らかな邪心の全くないたまえの元気いっぱいな行動をいつしか愛するようになっていくのだった。こんなにも楽しい時間がいつまでも続いてくれますようにと願うたまえの前に、心がささくれだった若い娘をイズコが『天間荘』に連れて来た・・・。

そもそも、この三つ葉とはどんな街なのか?

そして、『天間荘』の真の役割とは?

【のぞみ・かなえ・たまえ】の名前を持つ三姉妹の邂逅の意味とは?

三姉妹を演じる、大島優子・門脇麦・のんの役柄にぴったり合うトリオ役のコンビネーションを中心にして展開するこの作品は、それを老練な脇が支える、全体劇として成功した内容となっていました。ファンタジーなのに訴えたいテーマがはっきりしているので、長尺なのに最後の最後まで退屈せずに見られる心に残る作品となっていたのです!

ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。

星印は、4ッ半さしあげます。

5点満点中4.5点 2400円

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