これまで千利休・古田織部の茶器をめぐっての大騒動を描いた『嘘八百』コメディ・シリーズの3作目です。今回は正月らしくスケールアップして、太閤秀吉の茶器をめぐってのテンヤワンヤの大騒動を描いています。
目利きなのに空振りばかりの古美術商・小池則夫(中井貴一)と、腕はいいのにうだつが上がらない陶芸家・野田佐輔(佐々木蔵之介)の前に、別口でオイシイ話が持ち込まれた。小池は、開催を控えた『大阪秀吉博覧会』の総合プロデューサーという大役に抜擢され、行方の分からない博覧会の目玉となる【鳳凰】と称される茶器を探す。一方、野田には、大阪で大人気のTAIKOHと名のるカリスマ波動アーティスト(安田章大)を抱える、資金力膨大な組織を統括する謎の美女(中村ゆり)が開催する『秀吉七品展』で、唯一行方の分からない【鳳凰】という茶器を復元させる仕事が舞い込んだのだ。有頂天になった小池と野田が、内容がバッティングする別々の公私の展覧会のため、おたがいに角突き合わせる仲になり、コンビ分裂の危機にまでなる。オイシイ話には裏がある!!気づいた小池は野田を巻き込み、今までの仲良しの特異な腕を持つ仲間と共に、第3の『博覧会』を設立して裏の全貌を暴こうとするが・・・。
歴史・骨董・アートの魅力を描きながら、これらのロマンとそれをめぐる人間の強欲をコミカルに描き出していくこのシリーズ作品は、静かな人気を呼び、シリーズ物として確立していきはじめたのだ!そのことは駄作が許されない!という意味合いを持つのだ。そしてこのシリーズ3作目は、これからファンの支持を集める大事な作品となるだろうと思いながら見させてもらったのだが、合格点を出してもいいかなと思う内容でした。ただ不満を言えば、正月用のスケール感に重きを置いたために、このシリーズの陰の主役である、小池や野田を支える酒場の仲間たちである職人たちの心意気を表す得意技の描写が少なかったことである。これが楽しみで見る方たちも多いと思うので、大事にしてもらいたいと思うのです。
ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。
星印は3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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