『パラサイト 半地下の家族』で家庭教師役を演じたパク・ソダムが、凄腕のドライビング・テクニックを持つ<女運び屋>として活躍するアクション映画です。
表に出せない≪ワケあり荷物≫を届ける特殊配送会社『特送』で仕事をしているウナ(パク・ソダム)は、天才的なドライビング・テクニックを有する若い女性である。そんなウナに『特送』から依頼された仕事は、裏組織を裏切り、海外に逃亡を図るヤミ賭博ブローカーと小学生の息子ソウォン(チョン・ヒョンジュン)を港まで送るというウナにとって簡単な仕事のはずだった。待ち合わせの場所に待機したウナだったが、その裏切りを知った裏組織に襲撃され、ソウォンと300億ウォンが入った貸金庫のカギを抱えて追われる羽目に陥ることになる。実は裏組織のボスの正体は現役の警察官であり、表の顔を利用してウナを誘拐と殺人の犯人と偽り、警察組織を動員して、逃げ回るウナとソウォンを追い詰めていく。さらに、この事態を知った『国家情報院』までがこの事件に乗り出してきた。ウナは【脱北】の過去を持つ女性としてマークされ、これまで行方が分からないウナを秘密裏に調査していたのだ。今や国家権力を相手にせざるを得ないウナの味方は、ウナの過去を知り、信頼してくれる『特送』の肝っ玉の据わった社長と同僚からの連絡のみの状況の中、ソウォンを守りながら命がけの逃走劇【カーチェイス】がはじまるのだが・・・。
パク・デミン監督の展開の早いスピーディーな演出は、観客を充分に満足させる力量を示してくれたと思うエキサイティングな作品に仕上げてきた。観客をハラハラドキドキさせながら、随所に挟み込むユーモアたっぷりのサービス精神は、韓国映画の定番となっていたのだ。パク・ソダムの無表情な演技と、チョン・ヒョンジュンの可愛い饒舌な演技の掛け合いは、ぴったりと息が合うコンビぶりを見せてくれるのです。カーチェイスの息をのむ激しさは、ハリウッド映画に並ぶと思います。
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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