顎木あくみ原作の和風ファンタジー小説を、塚原あゆ子監督が映画化した作品です。物語の舞台は、日本の明治・大正期を思わせるが、架空の時代となっています。
異能の技を持つ家系に生れながら、その才に恵まれない斎森美世(今田美桜)は、名門の斎森家の継母と義妹に虐げられながら、小間使い同様の扱いを受けていた。そんな美世は、異能の最上位の家系である次期宗主・久堂清霞(目黒蓮)のもとに嫁入りを命じられる。清霞は若くして、帝が治める国家部隊の司令官であり眉目秀麗な青年なのに、冷静で無慈悲な性格をしており、多くの婚約者候補から逃げ出されたという噂をされていた。それで人身御供同然の政略結婚として美世に白羽の矢が立ったのだ。幼い頃から小間使い扱いされていた美世は、上流家庭の行儀作法も知らない。ここでも苛められる覚悟して、久堂家に赴いた美世を素っ気ない態度で迎えた清霞だったが、持って生まれた美世の優しい性格に、清霞の心はしだいに魅かれていく。その頃、現帝の病状は重く、次帝が即位する代替わりの時期が迫っていた。清霞は帝ではなく国家に忠誠していたが、この機をめぐっての宮廷内部の暗躍がはじまっていたのだ!そんな国家に忠義一途な清霞の心を知った美世は、清廉な清霞を慕うようになる。そのような状況で己の利益だけのクーデターが発生し清霞も巻き込まれた。清霞を一途に慕う美世の隠された才が爆発するが・・・。
美世が使う言葉遣いの日本語のやさしい響きや、着ている和服のたおやかさに、和風ファンタジーの独特な魅力を感じられる作品となっているのです。日本映画が、世界中から【ワフー・ファンタジー】と呼称されるファンを獲得する可能性を秘めたジャンルになりえると思いながら見ました。そのための試金石となったと思います。ただこの作品は、『シンデレラ』と『美女と野獣』をミックスした内容なので、日本古来の数々ある伝説や物語を組み合わせて、丁寧なドラマ作りをして【日本オリジン】をする必要があると思います。この作品は、そういう意味で日本映画に一石を投じたモニュメント作品となっているのです!!
ぼくのチケット代は、2000円出してもいい作品でした。
星印は、3ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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