M・ナイト・シャマラン監督が、ポール・トレンブレイの『最後の訪問者』の小説を映画化した作品です。キリスト教の終末思想【黙示録の4騎士】を濃厚に漂わせる内容となっています。
同性カップルのエリック(ジョナサン・グロフ)とアンドリュー(ベン・オルドリッジ)、アジア系の養女・ウェンの家族は、人里離れた山小屋で穏やかな休日を過ごしていた。そこに武装したまったく見知らぬ男女4人組が乱入して、家族は訳も分からぬまま囚われの身になってしまう。謎めいた4人組のボス格(デイブ・バウティスタ)の男は、穏やかな口調で捉えた家族に「あなた方は選ばれた」「家族のうち誰か一人が犠牲になることで世界の終末を止めることができる」「それを拒絶することは何十万の命を奪うことになる」と告げる。パラノイアたちが自分勝手な主張をしていると思うエリックとアンドリューは囚われたまま言葉で反抗するのだが、4人組の男女はテレビの報道をエリックとアンドリューに見せる。テレビの報道では、世界各国で起こり始めた災害が報じられるが、このニュースがフェイクと思うエリックとアンドリューは、ウェンを連れて山小屋からの脱出を試みるが・・・。
『シックス・センス』で衝撃のデビューを果たした<この作品は主人公の目線が大事なキーとなるすばらしい映画だが、同じ手法は2回撮れない、いわば禁じ手の映画だと思う!>M・ナイト・シャマラン監督だが、以降の作品の大半は、出だしは秀逸でワクワクさせながら結末は先細りした内容が多いので見ながらトーンダウンしていたのです。今回は原作に基づいた脚本なのでエンドシーンまで破綻なく見られます。キリスト教の世界では、このテーマはすんなりと理解しながら見ると思いますが、人類を救済するため自ら犠牲になるイエス・キリストや、この世の終末を告げる【黙示録の4騎士】になじみのない日本人にとって戸惑う寓意話となっているのです!!登場人物のアップショットを多用しながら進ませる切れのいい演出は少々荒いが、M・ナイト・シャマラン監督らしい大胆な手法でした。エリックとアンドリューの過去に加えて、ウェンが養女になるまでの流れを繰り返し流すシーンが重要な伏線だと思いながら見たのですが、同性間のカップルへの理解なき仕打ちに、恐れ多いのですがイエス・キリストの理解されない仕打ちをかぶせてみたのだろうと勝手に解釈しました。
ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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