カンヌ国際映画祭で坂本裕二のオリジナル脚本が【脚本賞】を受賞した、カンヌの寵児と謳われる是枝裕和監督の話題の作品です。
大きな湖がある都会の郊外の町。クリーニング店で働くシングルマザーの麦野早織(安藤サクラ)は、小学5年の息子の湊(黒川想矢)から担任の保利先生(永山瑛太)にイジメを受けていると明かされる。翌日、早織は小学校の伏見校長(田中裕子)と面談するが、校長の態度はなぜか気もそぞろでこのイジメ事件に関心もなく、保利先生も5年生の親の前での謝罪会見もどこか棒読みみたいな調子の嫌々ながらの言葉だった。<これが後半の重要な伏線となります>このイジメ事件は5年生の親のリークで地元新聞の記事になり、保利先生は精神的に追い詰められていく。その頃、湊は一風変わった性格ゆえに同級生からイジメを受けている男の子(柊木陽太)になぜか気持ちが魅かれていく。丘に捨てられた古びたバス車内で<怪物だ~れだ>に興じるふたりの孤独な遊び。そして、台風の朝、ふたりはこつ然と姿を消してしまう・・・。
早織、湊、保利先生の三人の視線を通して、物語の時間軸を自在に前後させて、教師のイジメ・学校の事なかれ主義・モンスターペアレンツ・学級内のイジメ・家庭内虐待・片親への偏見などの種々のハラスメントを描いていくこの作品は、<怪物だ~れだ!>を象徴的に描く内容となっているのです。知らず知らずのうちに、種々のハラスメントを行う人々への警鐘のテーマも一つになっていると思います<早織の場合>!ただこれは僕の疑問ですが、ビル火災のシーン?。物語の重要な伏線になると思っていたのですが、よく分かりませんでした。安藤サクラと永山瑛太の演技は見ものでした。そして、坂本龍一さんに心からの哀悼の意を表したいと思います。
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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