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魔女の香水

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   2023/06/20

衛藤賢史のシネマ教室

幸薄い若き女性が、【魔女】と呼ばれる女性が創る魅惑的な香水の香りに出会い、夢の階段に駆け登っていくシンデレラストーリーです。自身のオリジナル脚本を宮武由衣が監督した作品です。

高卒の若林恵麻(桜井日奈子)は、派遣会社の仕事で上司がセクハラ行為をしているのを抗議して仕事を失う。どんなに頑張っても高卒ゆえに不当の仕打ちを受ける、職のカースト制度の最下位に位置する自分に自棄になった恵麻は、夜の街をさまよう内にスカウトマンに、夜の街の仲間から<魔女さん>と呼ばれる白石弥生(黒木瞳)の香水を創る店に連れて行かれる。恵麻の素直な心根と香水の香りに敏感な素質を認めた弥生は、偶然訪れたダンディーな男性の金木犀の香りに素直に反応をする恵麻に店を手伝わせることにする。<魔女さん>から、香水の知識や心構えを教えられた恵麻は、すっかり香水の魅力に魅了される。その知識を生かして恵麻は、<香りの会社>の臨時雇いになり、営業で有力なベンチャー企業を訪問した時に、対応した社長・横山蓮(平岡祐太)がつけた金木犀の香りで、<魔女さん>の店で出会った男性とわかる。だが、蓮に気に入られた恵麻に嫉妬した上司から卑怯な告げ口をされ、会社を解雇されてしまう。恵麻は、弥生から教えられた『自分の人生を切り開くのは自分自身の才覚だけ』の言葉を頼りにインターネットによる香水の販売を目指す。その恵麻の勇気を支える蓮。いつしか、恵麻と蓮は愛し合う関係になる。弥生の言葉に勇気を出してはじめたベンチャーも、恵麻の才能を信じる力強い仲間のサポートで注文が増えた頃、蓮から相談があるという連絡が入る・・・。

無一文の恵麻が<魔女さん>によって、香りと言葉で背中を押され、未来を切り開くシンデレラストーリーのこの作品は、ストーリーの組み立てや主要人物の性格描写が甘いので底の浅い内容になっていたのだ。加えて、【匂い】という映画での最大の弱点を中心に据えての演出を、【匂い】を台詞で綴る手法では、ストーリーを引っ張る力に無理が生じてしまうのだ。宮武由衣監督が、映画での難題に挑戦した心意気を尊敬するが、残念な結果になってしまったようだ。

ぼくのチケット代は、1900円出してもいい作品でした。

星印は、2ッ半さしあげます。

5点満点中2.5点 1900円

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