コメディを得意とする名シナリオライターの宮藤官九郎(愛称・クドカン)が、青春映画を得意とする山下敦弘監督とタッグを組んだ、ファンキー・ファンタジーな作品です。
京都の郵便局の窓口業務をするハジメ(岡田将生)は、明るい性格だが、妙に饒舌すぎて30歳になるのに、いまだに恋人のいない毎日を送っていた。実はハジメは、何をするにも人よりも【一秒早い】という奇妙な性格を持っていた。そのため業務は、人よりも素早く反応するので郵便局では信頼されていた。ある日、ハジメは路上ミュージシャンの桜子に一目ぼれする。必死のアプローチの末、桜子と淡いつき合いをはじめるハジメは、次の日曜日に開催される花火大会デートの約束を取りつけるが、その会話の間に桜子は弟の難病のため治療費に40万円必要なのでバイトを掛け持ちしていると聞きだす。ハジメは、花火大会の日に桜子に40万円を渡すと約束してワクワクしながら日曜日を待つのだった。そして、約束の日。ハジメが目覚めるとなぜか【月曜日】!“花火大会デート”の【日曜日】は消えてしまったのだ!!その秘密のカギを握るのは、ハジメの郵便局に毎日一枚の切手を買う!オズオズした何でも【一秒遅い】大学7回生のレイカ(清原果耶)だったのだ。そしてその訳は・・・。
台湾映画の『一秒先の彼女』(2020/チェン・ユーシュン)のリメイク作となるこの作品は、台湾映画の男女のキャラを反転させるアイデアで新味を出そうと試みる内容となっている。ハジメの視点で描かれる後半で、張り巡らせられた前半の伏線が次から次へと解き明かされていく【消えた日曜日】の秘密が、見る人に分かる仕組みとなっていくのだ。台湾映画にないバス運転手(荒川良々)のエリカへの独白で、日本人なら「ハハ~ン」とその意味が分かるのだ!台湾映画を見てない人にとって前半シーンは、チンプンカンプンで退屈する人が多いと思うが、我慢して見てください。後半で【消えた日曜日】の秘密や、ハジメとレイカの関係が分かりスッキリした気分になるファンキー・ファンタジーな作品なのです!
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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