トランスジェンダーの主人公がバレリーナを目指す『Girl ガール』でカンヌ国際映画新人監督賞を受賞したルーカス・ドン監督の作品です。2作目であるこの作品は、思春期の入り口に入った13歳のふたりの少年の友情とクロース<終焉>を描いていきます。カンヌ国際映画祭コンペティション部門でグランプリを受賞し、ゴールデングローブ賞で外国語映画賞も受賞した作品です。
農家を営む家庭の13歳のレオ(エデン・ダンブリン)は今日も幼なじみのレミ(グスタフ・ドゥ・ワエル)の家に泊まり、仲よく遊んでいた。思春期にさしかかった中学生たちは男女の関係を意識する年ごろなのに、レオとレミは中学生になっても、いつものようにふたりで仲よくつるんでいた。ふたりの親密すぎる仲を悪げなくクラスメイトは【カップル】と冷やかす。レオは、しだいにクラスメイトの目を気にして、レミとの接し方にどういう態度を取ればいいのかと悩みはじめる。しだいに素っ気ない態度になるレオの気持ちを理解できない、無垢な少年の心のレミは相変らずレオにつるんでくる。気まずい雰囲気の中、レオとレミは学校で些細なことから喧嘩になる。レオはレミから離れる。アイスホッケー部に入部したレオは、レミと心の距離を置いたまま、アイスホッケーに励む毎日を送っていた。そんなレオにレミとの突然の別れが訪れる。季節は移るも、心は喪失感を抱え罪の意識に苛まされるレオは、ふたりをわが子のように可愛がってくれたやさしかったレミの母ソフィ(エミリー・ドゥケンズ)と出会う・・・。
ルーカス・ドン監督は、思春期に入った少年の繊細な心の動きを、やわらかな刷毛でソッと撫でるような描写で静かに描いていく。大人の入り口に差し掛かる思春期の少年の傷つきやすい繊細な心の動揺を、瑞々しいタッチで描くこの作品は、大人になった皆さんの心にノスタルジーを誘いながら、あの頃の心に抱えた<後悔>や、誰も分ってくれない<心の痛み><孤独感>を、切ない感情で思い出させるのです!
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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