今年の夏休みで最大の目玉作品である『キングダム』シリーズが、このスケールの映画として異例の2年連続での公開として満を持して登場しました。
BC2世紀、中国全土の統一を目指す【秦】に、突如として攻め入ってきた大国【趙】に対抗するため秦王・エイセイ(吉沢亮)は、総大将にオウキ将軍(大沢たかお)を任命する。その任務を受ける前にオウキはエイセイに、秦王としての不退転の覚悟を聞く。エイセイは静かに語り始める。幼い頃エイセイは大国【趙】で人質として苦難の毎日を送っていたこと、【趙】から逃れるためシカ(杏)という勇敢な女性から助けられたこと、シカはエイセイを助けるため己を犠牲にしたこと、亡くなる前シカは戦乱を治めるためエイセイに庶民のための中国全土の統一を果たしてくれと願ったことを!オウキ将軍はそれを聞くと総大将任命を微笑しながら受ける。一方、シン(山崎賢人)はオウキに鍛えあげられ、この戦いで100人隊長に抜擢される。シンはつるんできた仲間と隊長として【趙】との戦いに挑む。そして、オウキ将軍がシンに命じた役割は、【趙】の知力武勇すぐれたフウキ将軍(片岡愛之助)の首を取ることだった。何十万の軍に囲まれたフウキ将軍に、100人の小さな隊を率いる絶望的な戦いを、オウキ将軍は何故シンに命じたのか?しかし、シンが率いる隊はオウキ将軍の知謀を信じ、仲間を信じて突っ込んでいく・・・。
ベストセラーに輝く原泰久のマンガを映画化した『キングダム』シリーズは、日本映画としてはスケール感の大きな作品として人気を集めているが、今回の作品もスケール感たっぷりの仕上がりを魅せる内容となっているのです。このシリーズ作品の成功は、原作の長大なストーリー構成に惑わされることなく、シリーズ構成ごとに的を絞ったコンパクトな内容にあると思うのです。今回は、エイセイの過去の悲しい出来事や、オウキ将軍の知謀を信じるシンの無謀と思われる少人数で何十万の敵の大軍に突っ込む戦いに、的を絞った内容が成功しているのです。長編小説を映画化した大半が、上映時間の制限がある映画にとって無駄な枝葉を刈り取る脚本の腕力に失敗しているのを考えると、『キングダム』シリーズの成功は一作ごとに的を絞る脚本の力が大きいと思うのです。スケール感が大きくて、的を絞ったドラマ構成が、映画を見る醍醐味を感じる作品となっているのです!!
ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。
星印は、4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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