“大豆”、“きれいな水“、”にがり”。昔ながらの手法で丁寧に作られる豆腐店を経営する、父と娘の日常を描いていく作品です。
広島県尾道市で、職人気質で頑固な高野達雄(藤竜也)と娘・春(麻生久美子)は、今日も朝早くから手作りの豆腐を作っている。父と娘だけで経営する『高野(たかの)豆腐店』の日常の風景だ。語学力のある春は、将来的に経営する純粋な<手作りの豆腐>の味を世界に広めていきたいという計画を画策していた。純粋な豆腐の最も大事な最後の仕上げの要素は“にがり”だが、それは達雄が握っている。頑固で職人気質の強い達雄は、<豆腐>という繊細な食べ物は地元の人が食べるために作るものだと思っていた。『高野豆腐店』のある商店街の仲間たちは、そんな父と娘のことを心配しながら温かく見守っている。今日も仲間が集う理髪店で、かんかんがくがくしながら、春の結婚相手や父と娘の考えの違いを心配しながら話している。そんなある日、達雄は持病の心臓を治療する病院で、初老で独り身のふみえ(中村久美)と知り合い、淡い好意を抱く。春は自分の計画を全面的に支持してくれる男性を結婚相手に決めたと達雄に言うが、人違いした男性を春の相手と思っていた達雄は激怒して喧嘩になってしまう。仲良く暮らしていた達雄と春の間に深い溝が襲うが・・・。
<豆腐>という昔から庶民に親しまれていた食材をテーマにして、地方で手作りの『豆腐店』を営む父と娘の日常を描いていくこの作品は、ローカル色を満載させながら地方の人々の助け合う生活をコミカルに描き出しながら、広島に与えられた傷跡も静かに描いていくのです。少し饒舌すぎる演出があるものの、広島県出身の三原監督の、熟知している地元愛いっぱいの演出に楽しく見られる作品となっていました!
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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