ハードボイルド作家・長浦京の同名小説を、行定勲監督が映画化したアクションサスペンス作品です。
物語の舞台は、未曽有の関東大震災の翌年1924<大正13>の東京。玉ノ井の花街で銘酒屋の女将をしている百合(綾瀬はるか)は、過去に東アジアを中心に10代の頃から、スパイ兼凄腕スナイパーとして【リボルバー・リリー】と敵から呼ばれ恐れられる、冷徹非常な美しき諜報員として活躍していた。しかし、ある事情から<殺し殺される>修羅の稼業から足を洗って、銘酒屋の女将としてリリーを慕う女性たちと静かな毎日を送っていた。そんなリリーのもとに、慎太(羽村仁成)という少年が訪ねて来た。慎太は、父からリリーを頼れと預けられた、不正な陸軍資金の書類を持っていたのだ。リリーは、信頼する元海軍将校で弁護士(長谷川博己)と共に慎太を守るため、ふたたび修羅の道に戻る。執拗に慎太を狙う陸軍精鋭部隊を相手に【リボルバー・リリー】の命がけ戦いがはじまる。多勢に無勢の残る策は、海軍を味方につけること、陸軍の横暴を嫌う山本五十六大佐(阿部サダヲ)に慎太を預ける事!!それを察した、陸軍精鋭部隊が海軍省の門に待ち構える前で、リリーは慎太を守り突破することが出来るのか・・・?
日本映画でアクションのできる数少ない女優のひとりである、綾瀬はるかを主演に据えたこの作品は、大正期の日本陸軍の横暴を横軸にして、【リボルバー・リリー】という女性ながら凄腕スナイパーの活躍を描いていく。しかしながら、錯綜する展開の重要な伏線となる内容を後出しするシーンが多かったり、陸軍精鋭部隊の率いる部隊長が、ただ恫喝したりわめくばかりの体たらくの情けない軍人だったりするので、リリーの敵役としてドラマが盛り上がらないのだ。そして、リリーのライバルであり難敵の素性がさっぱり分からないのは致命的失敗と思う。【リボルバー・リリー】と謳われる、リボルバーの拳銃を所持する意味の描写もなく、むやみやたらとリボルバーを撃ちまくるシーンが多いのも興をそぐ一因となっていた。
ぼくのチケット代は、2000円出してもいい作品でした。
星印は、2ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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