世界中のファンを熱狂させた怪獣映画『ゴジラ』の生誕70年(1954)を記念する作品です。監督は『三丁目の夕日』『永遠のゼロ』などの特撮映画を手掛けた山崎貴が満を持して、監督・脚本・VFXを担当する作品となっています。
日本の敗戦が濃厚になった1945年。特攻を命じられた敷島浩一(神木隆之介)は、飛行機の故障を理由として大戸島に着陸したが、島の住人が<ゴジラ>と呼称する怪獣に襲われ整備兵の大半は死亡するが、浩一は辛くも助かる。心に深い傷を負った浩一は、敗戦した焼け跡だらけの東京の町を彷徨う内に、典子(浜辺美波)という他人の幼子を預かった生きる勇気を持つ娘と知り合う。浩一は、典子と幼子を守るため、海上にある機雷を掃討する危険な仕事に従事する。学者先生(吉岡秀隆)・船長(佐々木蔵之介)・四郎(山田裕貴)という若い男が仲間。ある日、機雷を掃討している船の周囲に深海魚が浮かび上がる。大戸島の体験から浩一は、ゴジラがこの海域いることを確信し、学者先生も浩一の考えを支持する。浩一の予言どおりに、ゴジラが復興半ばの東京を襲ってくる。阿鼻叫喚の東京で、生きるために民間の人々が立ち上がる。学者先生をリーダーとして、生き残った海軍の有志を中心にゴジラを退治する方法を練る内に、典子がゴジラの被害に遭う。愛しはじめた典子を失ったと思った浩一は決心する。浩一は、自分が犠牲になる覚悟で、ゴジラ掃討の矢面に立つ役を請け負うが・・・。
あらゆるものを破壊するゴジラを、愚かな戦争として具現化したようなこの作品は、VFXが進化した映像で、ハリウッド映画に負けないような迫力ある【破壊神】としてのゴジラを、怪獣映画の原点に戻して登場させるのだ。前作の『シン・ゴジラ』では、ゴジラを脇に置いて、日本の省庁の縦割り行政の矛盾をつく優秀な内容となっていたが、『ゴジラ』シリーズを愛するファンにとって、ゴジラが脇役になったので少し物足りない感じを覚えた人々も多いと思うが、この作品で原点回帰の内容に拍手喝采するのではないだろうか!
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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