イギリスの作家A・F・ハロルドの小説「ぼくが消えないうちに<The Imaginary>」を映画化した長編アニメーション作品です。監督の百瀬義行は、スタジオジブリで高畑勲の全作品に関わったアニメーターです。
ラジャー(声・寺田心)という少年は、大好きな父を亡くし心にポッコリと穴の空いた寂しい少女アマンダ(声・鈴木梨央)の心が生み出した【想像の友だち(イマジナリ)】だ。いつもアマンダの屋根裏の部屋で、ラジャーはアマンダ以外誰にも見えないイマジナリとして楽しく暮らしていた。しかし、イマジナリには人間に忘れられると【消えていく】という、避けられない悲しい運命を持つ存在だった。ラジャーはアマンダから忘れられれば【消えていく】という運命の中、アマンダが想像する数々の冒険を楽しむ。ある日、アマンダは母と買い物に出かけラジャーも同行するが、イマジナリを食べるミスター・バンティング(声・イッセー尾形)に追われ、アマンダが車にひかれ意識不明の重体となる。拠り所を失ったラジャーは、かつて人間に忘れ去られたイマジナリたちが身を寄せ合って暮らす街の図書館にある【イマジナリの町】に、エミリ(声・仲里依紗)という元気のいいイマジナリに連れられて行く。そこで出会った、人間が成長するに連れ忘れ去られた数々のイマジナリの仲間に勇気づけられたラジャーは、大切な人と家族の未来をかけた最後の冒険に旅立っていく。勝つのはイマジナリー(想像)か、それともリアリティー(現実)か、ラジャーと仲間たちの【誰にも見えない戦い】が始まるが・・・。
幼い子供心から生まれるイマジナリー【想像】の世界を、イマジナリー側から描いていくファンタジーな世界を、スタジオポノックの目くるめくような色彩あふれるアニメーションによって、大人が見ても楽しめる作品となっているのです。世界に誇るイギリスのファンタジー小説の種類の多さを知るとともに、世界に誇る日本のアニメーション映画とのベストマッチと思う作品でした。
ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
©2024 Oita Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.