スーザン・コリンズのベスト・セラー小説を映画化したヒット作『ハンガー・ゲーム』の64年前の前日譚を描いた作品です。監督は前シリーズ担当したフランシス・ローレンスです。ドナルド・サザーランドが演じたパネム独裁者・スノーの若き日を描いていきます。
独裁国家パネムの首都キャピトルで反乱を起こした12の地区を罰するために、毎年各地区から少年少女が1名ずつ選ばれ、最後の1名になるまで殺し合う恐怖の催し『ハンガー・ゲーム』。この記念すべき10回大会の新しい試みとして、選手の教育係にキャピトル最優秀高校の12名の生徒が介添え役をやることが決定した。最後の1名の教育係になった生徒には最高の栄誉が与えられるのだ。18才のスノー(トム・ブライス)は、貧しい境遇から抜け出すために優勝を目指す。しかし、スノーが担当させられた第12地区から選ばれた選手は、【歌】を唯一の武器とする少女ルーシー(レイチェル・ゼグラー)だった。【歌】だけを武器とするルーシーに、その特性を加えた様々のアイデアを指示したスノーの明晰な判断で難局を乗り越えるが・・・。
この作品は、貧しい境遇のスノーが数々の困難を乗り越えながら、パネムのトップに成り上がる決心をするまでの前日譚として描いています。そのため、『ハンガー・ゲーム』をチャプター・1にして、チャプター・2でルーシーとの悲恋を、チャプター・3でスノーの覚悟していく様を描き、各チャプターを一時間弱に分けた157分の長編映画となっているのです。【歌】をドラマの中心に据えるため、スティーブン・スピルバーグ監督の『ウエスト・サイド・ストーリー』のマリア役を演じたレイチェル・ゼグラーをルーシーに起用した意味がよく分かりました。また、チャプター・2から軍人になったスノーが、金髪をバッサリ切った精悍な役を演じるトム・ブライスの演技もチャーミングでした。ただし、前シリーズを見てない人にとってスノーの決心がよく理解できない作品ともなっているのです。
ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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