コメディ時代劇『超高速!参勤交代』をヒットさせた脚本家・土橋章宏の同名小説を河合勇人監督が映画化した作品です。
意地の悪い吉良上野介(ムロツヨシ)の無礼にたまりかねた、赤穂の殿様は江戸城内・松の廊下で吉良上野介を斬り殺す?斬った赤穂の殿様は即日切腹!赤穂藩はお家断絶、家臣は浪人にさせられる。だが殿様が殺された吉良家も、跡継ぎがいないのでお家存亡の危機に!!賢い家老(林遣都)は大ピンチを乗り越えるため、吉良家から逃げ無職の坊主になっている上野介そっくりの弟・孝証(ムロツヨシ)を身代わりにして上野介が生きていることにする。孝証は無職坊主のころ、とある事で浅野家の家老・大石内蔵助(永山瑛太)と知り合い、親友になっている。幕府に、孝証を身代わりにさせ上野介が生きていることにした吉良家は存続できる。意地悪な上野介よりも、やさしい孝証を吉良家は男女ともよろこぶ。そのうちに、赤穂藩の47人の浪人たちが吉良家に討ち入り上野介の首を取る噂が江戸中に広がる。ある日、孝証と内蔵助が偶然に出会い、孝証の身代わりと浅野家討ち入りをせざるを得ない内蔵助の身分を知る。お互いに、やさしい平和主義の孝証と内蔵助は共謀して<討ち入り>を阻止し、両方とも生き残るための計画を立てるが・・・。
文楽・歌舞伎で日本中の大衆に人気になり、以降の日本時代劇の代表演目になる『忠臣蔵』をパロディ化したこの作品は、敵同士の中心人物が親友であったという<ちゃぶ台返し>の奇抜なアイデアにワクワクしながら見ました。しかし、定番の『討ち入り』をラストのクライマックスに入れたばかりに奇想天外な流れにならない、ある意味変形の『忠臣蔵』ドラマになってしまいました。ムロツヨシは快演しているものの、出たとこ任せの荒っぽいギャグに頼るばかりの内容に見ていて飽きてしまう作品となっているのです。特にラストの討ち入りでは、上野介の首をラグビー競技のボールに見立てて取り合うシーンのギャグは感心しませんでした。
ぼくのチケット代は、1800円出してもいい作品でした。
星印は、2ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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