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ゴッドランド/GODLAND

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   2024/04/09

衛藤賢史のシネマ教室

アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた、アイスランド映画です。アイスランド期待のフリーヌル・パルマソン監督の作品で、19世紀後半のアイスランドを舞台にした、デンマークの牧師を描いていくのです。ぼくは初めてアイスランド映画を見ることができました!!

若きデンマーク人の牧師ルーカス(エリオット・クロセット・ホーブ)は、デンマークの植民地アイスランドの辺境の村に教会を作るために派遣される。使命に燃えるルーカスの心配は、デンマークとアイスランドでは言葉が違うので、普通の日常会話ができないということ。沢山の荷物を積んだ船でルーカスは、港のない浜辺に上陸して陸路を通る厳しい旅へと出かける。ルーカスが持ち込んだ唯一の文明器具は写真機のみ。デンマーク語を話せる通訳と、デンマーク語を話せないガイドの老人ラグナル(イングバール・E・シーグルズソン)たちとの、重い荷物を乗せた馬で走破するキャラバンの道程は、想像を絶する厳しさだった。氷・湿原地帯・行く手を阻む冷たい川・火の山のあるアイスランドの未開地帯の道無き旅に、文明国に住んでいたルーカスの精神は次第に壊れていく。苛立ち、無理を通すルーカスの要求の失敗で、キャラバン仲間との会話を成立してくれる大事な通訳を亡うことになる。その出来事でルーカスとラグナルとの仲はさらに険悪になる。あまりの辛さに疲労困憊のルーカスは、落馬し瀕死の状態のまま目的地の村に到着する。村の長カールと娘のイーダとアンナの介抱でルーカスは回復し、持ち込んだ荷物で教会の建設を完成するが・・・。

19世紀後半のアイスランドの状態を残す古い写真にインスパイアされた、フリーヌル・パルマソン監督のこの作品は、アイスランドの荒涼とした【氷と火】が支配する原始的美しい風景を背景にして、自然を愛でる文明と自然と戦う未開との国家に属する、人間たちの分かり合えない精神の葛藤をルーカスを通して活写していくのです。

ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。

星印は、3ッ半さしあげます。

5点満点中3.5点 2200円

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