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衛藤賢史のシネマ教室

ミセス・クルナスvs.ジョージ・W・ブッシュ

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   2024/05/07

グアンタナモ収容所に収監された、無実の息子を救おうとするドイツの母の実話を映画化した作品です。ドイツでコメディアンとして活躍するメルテン・カプタンが、天真爛漫で時には押しの強い母のラビエをユーモアたっぷりに好演し、ベルリン国際映画祭で主演俳優賞を獲得した作品です。

2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件の一ヶ月後、ドイツのブレーメンに暮らすトルコ系移民のクルナス一家の19歳の長男ムラートは、旅先のパキスタンでタリバンの協力者として、キューバの米軍基地グアンタナモ収容所に収監される。母ラビエ(メルテン・カプタン)は、息子を取り戻そうと奔走するが、ドイツの国籍を持たない移民の一家にドイツ行政機関はアメリカとの交渉が出来ない。トルコもドイツに根を下ろした一家に冷たい。ラビエは藁をもすがる思いで、電話帳をめくり人権派弁護士ベルンハルト・ドッケ(アレクサンダー・シェアー)に面会無しに事務所に訪れ助けを求める。何しろ平凡な主婦であるラビエは、世間の仕組みに無知なのだ。突然予約申し込みも無く押し掛けたラビアに困惑しながら、天真爛漫な態度で語るラビアの話に耳を傾けるドッケ。事の重大さに気づいたドッケは、すべての仕事を断りラビアの助けを受ける。八方ふさがりの状態の中、人権派弁護士ドッケの最後の手段としての選択は、ラビアがアメリカ合衆国最高裁判所で、ブッシュ大統領を相手に訴訟する事だった!国を超えた<個人の人権>を守る人権派の人々を結集させた仲間が集まる中、ドッケはラビアに囁く。『アメリカ大統領を訴えるのだ』【誰が?わたしが?】『そうだ。君だ』。1786日つづく長き闘いがはじまる・・・。

収容所の描写なしに、母ラビアと弁護士ドッケが息子ムラートを救い出すため八面六臂の活躍を描いていくこの作品は、シリアスなテーマをうちに抱えながら、コメディタッチな内容で見る人を笑わせながら、【個人の人権】について考える作品となっているのです。平凡な母の息子を想う猪突猛進な行動を、メルテン・カプタンの快演により笑わせ泣かされながら、見る人々の心を動かす一級の作品となっているのです!!

ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。

星印は、4ッ半さしあげます。

5点満点中4.5点 2400円

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