2023年、韓国で500万人以上の観客動員数を記録し、青龍映画祭で最優秀作品賞を受賞した、海洋クライム・エンターテインメント作品です。『モガディッシュ・脱出までの14日間』で日本でも大ヒットさせた、リュ・スンワン監督の作品です。
1970年代半ば、韓国の漁村クンチョンでは生活の糧である海が、化学工場の廃棄物で汚染され、海に潜り鮑などの海産物を取る海女たちは失業の危機に瀕していた。船主の娘で海女のリーダーで責任感の強いジンスク(ヨム・ジョンア)は仲間の海女の生活を守るため、漁場から密輸品を引きあげる仕事を請け負う。しかし、仕事中に税関船に摘発され、親友のチュンジャ(キム・ヘス)だけが海に逃れ逃亡する。2年後、出獄したジンスクの前に様変わりしたチュンジャが現れ、摘発された時に父親と実弟を失い、船も会社も弟のように思っていたドリ(パク・ジョンミン)に奪われたジンスクに新たなデカい密輸を、ベトナム戦争で活躍した密輸王のクォン(チョ・インソン)と組んで儲けようと持ち掛ける。だがジンスクは、税関に密告したのは頭のいいチュンジャと思っていたのだ。しかし、仲間の海女たちの生活が絶望の淵に陥っているのを知り、チュンジャと組み、海女さんチームと人生の再起をを賭けた乾坤一擲な大勝負に身を投じていくのだが・・・。
平凡な海女!カリスマ密輸王!野心家のチンピラ!ダーティー鬼の税関!さらに、超怖いシャーク!さえも巻き込む五つ巴のテンヤワンヤの大騒動を描きながら、1970年代の韓国国内の勃興期の実話<日本の品物への憧れなど>に、70年代の音楽とファッションを混ぜ込み、ユーモアを交えて描いていくこの作品は、現代の韓国に自信を持つがゆえに描写できるエンターテインメント溢れる内容となっているのです。韓国映画の自信を示す、<弱者が強者を食う!>痛快なエンターテインメント作品でした。
ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。
星印は、4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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